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第11話

明かされた秘密! NEXT 目次へ
監督 前嶋守男 脚本 我妻正義/神戸一彦
アバン Aパート Bパート 予告

 早くもこの11話から、最終エピソードに突入してしまう。
 ただし、最初の予定では13話で打ち切りと言うことだったため、13話まででひとくぎりのストーリーとなる筈だった。が、次の番組までのつなぎとして、14話と15話が急遽造られることになって、少しいびつながら、11〜15話までが「いづみ」物語の長い締め括りとなる。

 さて、幕開けから「JUST FOR LOVE」が流れて、
  
 べたべたと標語が貼ってあるいづみの部屋の壁が映し出される。

 「バイオフィードバック 勉強する意志が お前を卒業させる」
 「三年間の遅れを取り戻せ」
 いづみたちが、教科書や参考書を並べて、必死に勉強している。
 もっとも、恵子は雑誌を手に、大きく口を開けて欠伸をしているが……。

 貼り紙の文面から、いづみたちはいつの間にか卒業試験が間近いことが分かる。

 ……しかし、第4話では、彼女たちの教室は「2-A」だと明示されていたのだが。
 劇中では描かれていないが、いつの間にか進級していたのだろうか?

 まぁ、これは元々1年間続く予定だったドラマが、1クールで終わってしまうハメになった為に生じた、取り繕いようのない矛盾である。本来なら、この辺のストーリーは実際に1年ほど劇中で時間が経ってから、いづみたちが3年生に進級する描写もしっかり踏まえた上で放送される筈だったのだろう。

 ただ、学年の違う佐織が一緒に勉強しているというのはやや不自然である。
 それに、プライベートで出てくるのが常にいづみの部屋と言うのもドラマ全体を通して物足りない。
 1年続いていれば、恵子や佐織の自宅、あるいは家族なども登場させられて、より幅広いドラマになっていただろうに。
 佐織「恵子さん」
 恵子「なになに」
 佐織「ここ、どうやって読むんですか?」
 恵子「ったま悪いんだから」
 恵子、佐織の差し出した教科書をひったくるように掴む。

 恵子「八月十五夜隈なき月影……おおかる?」
 自信満々で読み始めるが、すぐ詰まる。
 佐織「分かんないんですか?」
 恵子「八月十五夜隈なき月影……」
 佐織、教科書を取り返すと、「聞く相手間違えました」

 ちなみに、これは「源氏物語」の「夕顔」の一節で、「隙多かる……」と続く。恐らく、「隙」が読めなかったのだろう。
 ……ま、管理人も自信を持って読めないけど。「スキ」? 「ヒマ」?
  
 恵子、読んでいた雑誌を持ち替え、思いっきり佐織の頭を叩く。
 恵子「佐織ってなんでそうなのーっ?」
 佐織「痛ーい、何すんですかぁ」
 恵子「自分が悪いんでしょ! 聞く人間違えたなんてー」
 佐織「何よ、突き飛ばすことないでしょー」
 恵子「痛いなー、もう」
 勉強そっちのけで喧嘩を始める二人。
  
 黙々と勉強していたいづみ、つと顔を上げ、「うるさい!」と一喝。
  
 怒鳴られて、急に静かになる二人。
 恵子「すいません」
 佐織「ごめんなさい……」
  
 恵子「佐織が悪いんだからー」
 なおも、ぶつぶつ言いながら佐織を小突く恵子。

 二人で、いづみのダッフルバッグから散らばったアイテムを拾い集める。ちなみに佐織が持っているのは4話でいづみが使ったパチンコ(スリング)のようだ。
  
 と、恵子が意外な物を見付け、佐織に見えるように開く。
 それは、宝石ケースに入った指輪だった。二人して、物問いたげにいづみを見る。
  
 いづみも、それを見て、ハッとしたような顔になる。
  
 恵子の持つ指輪の映像に、港が遠くに見える新興住宅地の映像が重なる。
 それを、小高い場所から見下ろしているいづみたち。
 いづみ「もう人手に渡ってしまったけど」
 いづみ「ずっと昔、あそこが私の家だったわ」
 と、薄い空色の建売住宅を指差す。

 いづみ「そしてここが遊び場……、事故に遭った母は即死だったわ。父は病院でこれを書き残して死んだの」
 ここへ来て急に自分の過去について積極的に話し始めるいづみ。

 いきなり最終エピソードに飛んでいるのだから仕方ないのだが、今まで頑なに自分の過去を語ろうとしなかったいづみにしては、かなり唐突である。

 いづみ、父親の残した手紙を恵子に渡す。
 恵子「いいの?」
 いづみ、頷いて、
 いづみ「みんなに知ってて貰いたいの、初めて出来た私の友達だから」
 恵子、封筒から便箋を取り出し、もう一度いづみを見てから読み始める。佐織も恵子の後ろから覗き込む。

 恵子「私たちの未来 いづみへ 幼くしてひとりとなるお前は、これからたくさんの試練を受けるだろう、」
  
 恵子「楽しさよりも苦しみ……」
 音読する恵子と一緒に、文面を暗記しているいづみも口を動かす。

 恵子「喜びよりも悲しみが多いことだろう、けれどいづみ……」
 途中から、恵子の声が消え、いづみの声だけになる。

 いづみ「お母さんと私はいつも君のそばにいる。そうして君がどう生きるか、じっと見詰めているよ」
 いづみの声「この世を愛し、友達を作りなさい。友達は君に幸せをもたらしてくれる。どんなことがあろうとも、決して世を拗ねてはいけない。君のお母さんこそそうした。何があろうと、決して挫けることのない優しくて大きな人だった」
 アングルが変わるが、恵子の声は聞こえない。

 いづみ「そのお母さんの心が、君の中に生きていることを忘れてはいけない、父
 太字の部分だけ、恵子の声も聞こえる。
  
 恵子「いづみぃ」
 読み終えて、潤んだ目でいづみを振り返る恵子。
 恵子「どうして今日急に話してくれる気になったの?」
  
 いづみ「今日が両親の結婚記念日だから!」

 だそうです。説得力ゼロだけどね。
 恵子「同じ高校生になろっ、いづみ、同じただの女の子に……」

 あの、もうすぐ卒業なんですけど……。

 このシーンも、ほんとはもっと早く、中盤くらいで出てくる予定だったのかもしれない。

 なお、この手紙についていくつか意見を述べておく。

 そもそも、交通事故で自分が間もなく死ぬと分かるほどひどい怪我をした人間が、こんな手紙を書き残せる余裕があっただろうか? と言う疑問がある。これが病気ならまだ分かるんだけどね。
 また、父親が母親のことをいづみに話す感じは、まるでいづみが物心つく前に母親が亡くなっているような印象を受ける。事故が起きたのは、7話でいづみ自身が「10才の時」と語っているのだが……。

 また、今までその手紙について一切劇中で触れられていないのも気になる。いづみの生きる支えとなったであろう大事な手紙である。一度くらい、いづみがそのことを思い出したり、手紙を手に取ったりするシーンがあっても良かったと思う。

 ついでに言うと、いづみはそんな手紙を読んでいたにもかかわらず、その後、思いっきり「世を拗ねて」バリバリの不良になったんだよね。父親の言う「どんなことがあっても」と言う文面も、「謎の組織に誘拐されてバイオフィードバック実験をされて最終兵器になる」などと言う、非現実的な展開を思うと、微妙に笑いを誘う。

 色々と突っ込みどころはあるが、じわっと感動的なシーンであることは間違いない。
  
 その頃、石津はたくさんのいづみのスチールを眺めながらつぶやいていた。
 石津「いづみには野性の輝きがある」

 右側の(4話)はまだ分かるが、左側は、3話でいづみが窓から飛び込んでくるところを正面からとらえたもので、さすがにこんな写真はありえないだろう。
 石津「それは全ての人間が本来持っているものでありながら、我々には決して取り戻すことの出来ぬ、輝きなのだ。美しく、しなやかで……」

 こんな小っ恥ずかしい告白は、独りじゃないとできないだろうなぁ……と思いきや、
 みんながいる前で堂々と話していたのであった。さすが石津。

 石津「優しく、そして攻撃的……」
 後ろのスクリーンにいづみを映し、

 石津「この瞳だ。この瞳が全てを物語っている」

 一同(さっきから何を言うとるんだ、こいつは?)

 まだまだ続く、石津の羞恥台詞。
 石津「我々はいづみを最終兵器として作り上げたつもりでいたが、実はいづみに教えられたのかも知れん。人間の持つ、本当の魅力、本当の力を!」

 この石津の慨嘆も、唐突に感じてしまう。これが、40話くらい回を重ねて、いづみのコマンドーとしての能力以外の人間的な魅力をある程度描いた後なら、頷けるのだが。まぁ、脚本を書いている方にしても、不本意でしょうがなかったと思うが。

 石津「その力を我々はこの国の将来の為に育て上げなければならん」
 石津の最後の一言は、いづみを単なる最終兵器としてではなく、もっと大きな存在に育てるべきだという風にも受け取れる。
 石津の長広舌に耐えかね、久しぶりに登場の同輩たちが口々に批判する。
 「理屈は結構だ!」
 「君はいづみを洗脳することはおろか、その戦闘能力すら掴めんじゃないか!」
 右「このままでは上も黙っておらんだろう」
 左(俺にもなんか台詞くれよ)
 石津、拳でテーブルをドンッと叩き、彼らを黙らせる。
 石津「愚かな人間には、本物とイミテーションの区別もつかんのだ!」

 ……どういう意味ですか?

 石津の言葉に、左端の男(演・名取幸政)だけ立ち上がる。
 石津「結論は俺が出す!」

 この組織の欠点のひとつは、命令系統や監督権限が曖昧なことだ。
 少し振り返ってみると、


 1話では、いづみの脱走後、石津がいづみの保護を訴えるが「上」から「抹殺指令」が出される。
 が、同じ1話の最後では、「厳戒態勢で見守るしかないだろう」と、石津が勝手に指令を変更してしまう。

 2話では、石津がいづみを奪還する為、勝手にスナイパー(仮面ライダースーパー1)を送り込む。
 続く3話でも、石津はいづみの能力のテスト及び奪還の為、勝手にターミネーターを送り込む。
 3話の最後では、「しばらくいづみを泳がせてみるか」と、勝手に決める。

 4話の冒頭では、同僚たちに「いづみのテストを続けるべきだろう」と自分の考えを押し通す。
 5話では、「上」に対し、「いづみをもっと観察したいので自分に任せて欲しい」と、部下の口から言わせる。

 7話の最後では、キレ気味に「もういい! いづみはこれから私自身が直接担当する」と勝手に決定。


 いつの間にか、なし崩し的にいづみに関する処分は石津ひとりの手に委ねられてしまっていることに気付く。
 こんな規律のゆるゆるの組織による「革命」が、失敗に終わったのも当然の帰結だ。

 だから、たまには、石津の意見が覆されるシーンがあっても良かったんじゃないかと思う。
 あるいは、最初から石津を(プロジェクトの)最高責任者にしておけば良かったような気がする。

 それはさておき、ここで、OPタイトル。



アバン Aパート Bパート 予告

 
 いづみ、パンをくわえたまま制服に着替えている。

 バックには五十嵐いづみの「未完成」が流れている。
 アクションをほとんど自分でこなしているだけあって、なかなか逞しい二の腕である。
 ただ、さすがにパンをくわえたまま上着をかぶるのは不自然だろう。
 着替えた後、コーヒーをすすりながらパンを口に押し込む。
 相変わらず殺風景な部屋だが、窓のところの鉢植えなど、多少の彩りも見られる。

 と、朝からチャイムが鳴る。
 とりあえずドアを開けると、
 社会人モードの石津が立っていた。

 ちなみに、サングラスをかけている時が「黒幕モード」、バーガーインにいる時が「ちょいワルモード」である。管理人が勝手に付けた。

 いづみ「あなたは……」
 いづみの脳裏に、4話や8話でのバーガーインにいる石津の姿が浮かぶ。
 石津「君に仕事を頼みたい」
 いづみ「仕事ぉ?」
 石津、単刀直入に言うと、名刺を差し出す。
 そこには、「石津産業株式会社 企画開発部 部長 石津麟一郎」と、本名が書かれてあった。

 後々のことを思えば、これは石津の大きなミステイク。石津にすれば、もう身なりを変えて彼らの動きをマークすることもないだろうと、あえて本名を名乗ったのだろうが。

 しかし、確か石津は石津産業の社長だった筈なので、肩書きなどは架空のものだろう。
 でも、「石津産業」なのに、部長と言うのも変な話ではある。まぁ、社長の息子や娘婿と言う設定かもしれない。

 そう言えば石津、4話で「いづみが我々を追及し得る手掛かりは一切消し去る」とか言ってなかったっけ?

 石津「明日、静岡まで私を安全にボディーガードして欲しい。報酬は百万だ」
 いづみ「報酬が百万?」
 普通にびっくりするいづみ。もっとも、石津はとは言ってないので、リラの可能性もあるのだが……。
 石津「頼む、君しかいないんだ」
 いづみ「(条件が)良過ぎるわ」
 石津「私の運ぼうとする企業秘密を奪わんとする者がいる。危険な仕事だ、安いくらいだ」
 いづみ「でもぉ」
 石津「返事は明日で良い。それまで、これを預って欲しい。頼む」

 しかし、仕事を引き受けるとも言ってないのに、ケースを預けるというのもちぐはぐな話である。
 いづみ、多分、その日が卒業試験だったので、深く考える余裕がなかったのだろう。

 ここに、サブタイトルが重なる。
 次のシーンで早くもテストの後、下校している三人の姿に飛ぶ。
 いづみ「あーっ、終わった、終わったーっ」
 恵子「今日は思いっきりパーッとやろうね!」
 佐織「でも、恵子さんは追試があるんじゃないですか?」
 恵子「なにぃーっ」
 佐織「キャーッ! ギブアップぅ」
 恵子、佐織にヘッドロックをかける。
  
 いづみ「その時はその時! 今日は楽しいすき焼きパーティーよ」
 佐織「やったー!」
 いづみ「早く買出しにいこっ、いっちばーん!」
 佐織「待ってぇー」
 恵子「待ってよー」

 走り出すいづみを、佐織、恵子が慌てて追う。

 それにしても、試験の打ち上げに、自宅ですき焼きパーティーか……、ほっこりするなぁ。

 ちなみに、いづみ、石津から提案された仕事については二人には何も話していない様子。
  
 で、買出しのシーンもあっさりすっ飛ばし、早くもいづみの部屋に集まっている三人。
 テーブルに、野菜などの食材と、卓上コンロが置かれている。
  
 恵子が、所在なさげにコンロの火を点けたり切ったりしている。

 恵子「おっそいなー、もう、健の奴ぅ、どこまでお肉買いに行ってんのかな?」
 佐織「私たちのこと、野菜でお腹一杯にさせちゃおうって魂胆じゃないでしょうか?」

 佐織の推測に二人が頷く。
 どうやら、肉だけは健が買いに行っているらしい。でも、普通は一緒のところで買うだろう。高校生の彼らが(専門店にしかないような)特に高い肉を買うとも思えないし……。

 そもそも、決して高校生ではない健がこのパーティーに加わるというのもアレなんだけどね。まぁ、野暮なことは言わない。
  
 やがて、チャイムが鳴る。
 いづみ「やっとすき焼きらしくなりそうよ!」
 いづみ、声を弾ませて立ち上がり、玄関へ向かう。
 いつもながら、ファッショナブルな健が肉の包みらしきものを手に、覚束ない足取りで入ってくる。

 健「お前、なんか変な仕事受けなかったか?」
 包みをいづみに手渡しながら尋ねる。
  
 いづみ「みんな待ちくたびれてるわよー」
  
 健、部屋の奥まで進むと、不意に白目を出してぶっ倒れる。
  
 恵子「健!」
 佐織「どうしたのー?」
 三人が心配そうに駆け寄る。と、再びドアが開いて、今度は黒一色の服にマスクとサングラス、手には警棒のようなものを持った4人の男がずかずか入ってくる。
 男A「お前がいづみか、石津は何処だ? 預った物を渡せ!」
 いづみ「知らないわ。そんなもの」
 男B「預った物はなんだ?」

 彼らの台詞、どうも引っ掛かる。
 石津は何処だと聞いた直後に、預った物を渡せと言うし、渡せと言った後で預った物はなんだ? と聞いたりしている。

 また、彼らがこの場所をどうやって突き止めたのだろうか?
 最初から石津の動きを知っていていづみの部屋へ向かっていたが、たまたま健と遭遇して襲ったのだろうか?
 それとも、彼らはいづみの部屋に向かう健を尾行し(いづみの部屋を突き止め)、途中で健を襲ったのだろうか?
 しかし、石津の動きを知っていたのなら、いづみが学校へ行ってる間に空き巣に入ればいいのだ。

 もっとも、彼らのやってることは全て石津の仕組んだ芝居なので、その辺の辻褄は合ってなくても別に構わないのだが。
 いづみ、表情を引き締め、一戦おっぱじまりそうになるが、
  
 ここで意外な援護射撃。
 佐織が「きゃあああー、助けてー、誰か助けてー、泥棒ーっ!」と金切り声を上げながら、実に楽しそうに手当たり次第に食材などを男たちに向かって投げ付ける。
 野菜にひるむ男たち。
 投げるものがなくなったので、佐織、部屋の奥にあったケースを掴む。それこそ、石津から預った大事な物だった。
 いづみ「佐織!」
 
 佐織「来ないでー!」
 無我夢中で投げたケース、あっけに取られる彼らのひとりがしっかり受け止める。

 A「退け!」
 当然、彼らはさっさと逃げ出す。いづみも一応追いかけようとするが、諦める。

 でも、佐織のドジでうまくケースを盗めたけど、本当ならいづみを相手にケースを奪うのは至難の業だっただろう。
 石津は、彼らがいづみに勝てるとでも思っていたのだろうか? この辺もちょっと気になる。
  
 自分が彼らを撃退したと勘違いしている佐織、得意満面で前に出ると、左の目の下を指を当てて「ベーっ! だっ」

 さすがに今時、「あっかんべー」を本当に動作でする人はいないだろう。
  
 恵子も、手を叩いて佐織を誉める。
 恵子「佐織、すごい、初めての活躍だよ!」
 佐織「うふっ」
 首をすくめる仕草がとても可愛い。

 佐織「いづみ先輩、あたしやっつけました!」
 恵子「今の見たでしょ。佐織が初めて戦ったんだよ」
 いづみ、怒る訳にも行かず、力なく笑いかける。

 無論、その後、彼らに事情を説明したのだろう。

 翌日。
 石津「あのカバンを取られた?」
 ケースを奪われたと聞き、当然、穏やかでない顔付きになる石津さん。役者よのう。
 石津の前で面目なさげに座っている4人。恵子や健には何の責任もないんだけどね。
 恵子、ゴンと音がするほど佐織の頭をぶつ。
 いづみ「ごめんなさい」
 石津「ふーっ、この責任は取って貰えるんだろうな」
 いづみ「はいっ」
 石津、ふっと表情を和らげ、
 「これで交渉成立だな、昨日のカバンは空だ」
  
 石津の言葉に驚くいづみ。
 石津「これが本物だ。それじゃ、私とこのカバンを静岡まで運んで貰おう。安全にな」

 こうして、なし崩し的にいづみはボディガードの仕事を引き受けさせられることになる。
 でも、仕事を受けるとも言ってないのに預けていったものを奪われ、しかもそれがダミーだったのだから、いづみがここで石津の言いなりになる義理は全くないと思うんだけどね。

 むしろ、ダミーのカバンを残していったことで、男たちに闖入され、いづみとしては逆に石津に怒るべきだと思うのだが。
 その日のうちか、翌日なのか不明だが、次のシーンでは石津の車で出掛けるシーンとなっている。

 石津は「運んで貰う」と言ってるが、運転するのは石津なので、この台詞もいまひとつピンと来ない。

 健「頑張って来いよ」
 佐織「お弁当、お弁当! はい」
 いづみ「ありがとう」
 佐織が弁当を作る時間があったのだから、翌日と見るべきか?
  
 佐織、運転席側に回り、
 「ハイお弁当、これ、あなたの分です」

 こういう家庭的な面も、佐織の魅力のひとつである。きっと良いお嫁さんになっただろう。
 石津、「ありがとう」と言って、さりげなくその頬を触る。

 さりげなく女の子の頬は触らないと思いますけどね。
  
 だが、その瞬間、佐織が激しいショックを受けたように硬直する。
 石津は全く気付かず、エンジンをかけて車を発進させる。

 佐織の脳裏に、3年前、麗子先輩殺害の現場がフラッシュバックする。
  
 佐織「行っちゃダメェーッ! いづみ先輩、行っちゃダメー!」
 佐織、我を忘れて絶叫する。
  
 佐織が車道に突っ立っているのを見て、恵子が「危ない、佐織ぃ!」と慌てて駆け寄り、
 抱きかかえるようにして歩道側に引き寄せる。その横を後続の車が猛スピードで駆け抜けて行く。
  
 恵子「もう、どうしたって言うの、佐織!」
 佐織「あの人、ほら、あの人よー! 麗子先輩を殺して私に嘘の証言をさせた人なんです!」
 恵子「なんですってぇ」
 ここで、その時のシーンが回想される。2話の使いまわしだ。
 石津「今見たことは忘れろ、良いか、麗子を殺したのはいづみ……」

 佐織「あの時の、私の口を塞いだ硬くて冷たい手は、絶対忘れません!」
 恵子「もう、どうすりゃいいのぉっ」

 しかし、佐織、しっかり石津の声も聞いてる筈なのに、今まで何度か石津と会って話して、全然気付かなかったんだよね。
 ま、その時は恐怖のあまり、声など覚えておらず、ひたすら冷たい手の感触だけが印象に残っていたのだろう。
  
 少し遅れて健が二人に駆け寄る。同時に、後続の車が停まり、藤原が出てくる。
 恵子「グッドタイミング」
 藤原「なんだおめえら、また喧嘩か」
  
 恵子、勝手に後部座席に乗り込みながら、「ちょっとあの車追って、藤原さん!」
 藤原「なんだなんだ、どうしたんだよ?」
 恵子「早く出してよー!」
 いづみ、無論、後ろでそんな騒ぎが起こっていることなど知らない。
  
 どんなルートを通っているかの一切不明だが、次のカットでは早くも山間の道に入っている。
 石津の車のすぐ後を、別の車が走っている。
 その車の車載カメラの映像。
 石津「後ろを見てろよ」
 いづみ、振り返って、後ろの車のサンルーフから男が身を乗り出しているのを見る。
  
 ここ、いづみの「マジなの、あれ?」と言う台詞の後に、男がバズーカ砲みたいなものを構えている映像になるのだが、順序が逆の方が良かったかな。……ま、どっちでもいいか。
 石津「考えてる暇はないようだな」
 男は、いきなりマシンガンを……、あ、なんだマシンガンだったのか……を乱射する。
  
 慌てて身を伏せる二人。
 もっとも、最初から彼らは本気で狙って撃っている訳ではない。
 蛇行運転をしながら、「なんとかしろ、最終兵器!」
 石津の「最終兵器」と言う言葉が、いづみの頭の中に響き渡る。

 いづみ(まさか……)

 もっとも、「最終兵器」と言う言葉は、恵子たちがばらまいた「いづみなんでも事件解決業」のビラにも書いてあったので、石津がそれを知っていても不思議はないのだが。

 石津「どうした?」
 恐らく、石津は無意識的にそう呼んでしまったのだろう。この段階で、自分の正体をいづみに悟られることは、プラスにならないからだ。
  
 この至近距離で、撃ちまくっているのに、石津の車には弾ひとつ当たらない。

 それにしても、企業秘密を奪う為に、白昼堂々マシンガンをぶっ放す産業スパイなど聞いたことがない。
 石津「飛び降りるんだ、いづみ!」

 これじゃ、どっちがボディーガードだか分からんな。
 いづみ、頷いて、すぐにシートベルトを外し、ドアを開けて道路から伸びる斜面に身を躍らせる。
 木々の生い茂る斜面を転がるいづみと石津。ただ、運転席側の石津が一緒に降りてくるのは、ちょっと不自然だ。ま、そこまで細かいアクションを撮る余裕はなかったのだろう。
 追ってきた車も停まり、マシンガンを持つ男が空に向けて威嚇射撃をした後、運転していた男と顔を見合わせて笑う。
 この辺は、全て石津の指示通りに運んでいるのだろう。
 マシンガンの音に続き、車が走り去る音が聞こえる。これしきのことで諦めてしまうのも不自然なんだけどね。
 いづみ「死ぬかと思った」
 石津「百万じゃ安過ぎたかな」
  
 少し遅れて、同じ道を別の車がやってくる。さっきの覆面パトカーに、恵子と佐織が乗っているのだ。
  
 藤原「ケッ、そんな話、誰が信じられるかってんだよー」
 後部座席の恵子と佐織に向かって言ってから、運転している東大寺に「なぁ、大卒ぅ?」と同意を促す。

 東大寺「はぁ、でも、興味深い話っスね〜」
 藤原「ばっかやろう、なに気取ってんだ?」

 準レギュラーでありながら、ほとんど出番のない東大寺の貴重な台詞である。
 佐織「本当なんです、いづみ先輩は人なんか殺してません! あの人に脅されて嘘の証言をしたんです。仕事の依頼なんて罠に決まってます。早くそのことをいづみ先輩に」

 懸命に訴える佐織。恐らく、走っている間、石津のことを最初から説明していたのだろう。
 藤原は、佐織の前髪を指でちょいちょい触ってから、
 藤原「いづみ庇うのもいい加減にしろよ。ふん、なぁ、大卒ぅ?」
 東大寺「はい。でも……、友達って良いっスね」

 ややピントのずれた反応を示す東大寺。でも、性格良さそう。
 ちなみに、その名前から、なんとなく東大を出てるような気がしていたが、別にそう言う訳じゃないらしい。
 
 藤原、東大寺の頭をポンと叩き、「いつまで気取ってんだ、このやろー」
 恵子「石頭デカ!」
 藤原「ああ?」

 恵子、思わず拳を振り上げるが、藤原が振り向くと慌てて引っ込める。

 ここで、CM。

 しかし、藤原、口では頭から否定しているのに、こうやって二人を乗せてやってるんだよね。
 この段階では、藤原はもういづみがどんな人間なのか見極めている筈だが、やはり口では照れくさくてそう言ってしまうのだろう。
 あるいは、とにかくいづみのことを付け回したいだけなのかもしれない。タイミングよく現れたのも、いづみの周辺を嗅ぎ回っていたのだとすれば、自然である。



アバン Aパート Bパート 予告

  
 その頃、二人は、東映特撮番組でちょくちょく出てくる廃墟のような構造物の中を歩いていた。
 石津「どうした、さっきから黙りこくって?」
 いづみ「あなたを襲ってくる人たちって、随分戦い慣れてる感じね」
 石津「その筋の者を雇ったんだろう」
 いづみ「兵士を?」
 石津「兵士?」
 いづみの言葉を繰り返して、歩を止める石津。

 石津「この仕事を受けたことを後悔してるのか?」
 いづみ「いいえ、依頼人があなたじゃなかったら引き受けなかったわ」
  
 いづみの意味深な言葉に、物問いたげにいづみを見る石津。
 いづみ「あなたは……」

 いづみが何か言いかけるが、ちょうどその時、バイクのエンジン音が聞こえてくる。
 いづみ、一体何を言おうとしたのだろう? 単刀直入に、「あなたは何者なの?」と聞くつもりだったのか。
  
 と、二人が出てきた通路とは別の、奥の通路から三台のバイクが出てくる。
 いづみ、石津に対する疑惑はひとまず置いて、頷きあうと、すぐ反対側に走り出す。

 このタイミングで、「エスケイプ!」のイントロがスタート。
  
 いづみ、前方の壁を指差しながら、「乗り越えるわよ!」と叫ぶ。
 ただし、この時点で、いづみはスタントに入れ替わっている。
 いづみ、壁に背中を付け、石津の足を手で支えて持ち上げる。
  
 そして、塀の上の石津の手を掴んで、引っ張り上げて貰う。
 この辺の段取り、あまりに手際が良いのでちょっと嘘っぽい。
 塀を越えた先は、草木も生えない荒れ地になっていた。無論、さっきとは全然別の場所で撮影しているのだろう。
  
 いづみ、土の堆積の上から飛び降りる。
  
 続いて石津も。

 五十嵐いづみさんも、渡辺裕之氏も、アクション俳優ではないが、それぞれ運動神経は良く、この一連のアクションシーンの多くを自ら演じておられる。
 さっきのモトクロスが回り道をして追ってくる。
  
 石津「ボディーガードだろ、何とか出来ないのか」
 いづみ「一度に3台も面倒見切れないわよ!」
 横一列になって追いかけるバイク軍団。
  
 石津、足を取られて派手に転げる。

 石津の目的は、あくまでいづみに戦わせてバイオフィードバックを間近で観察することなので、わざとかもしれない。
  
 いづみ、すぐ石津のところへ駆け寄るが、そこへバイクが突っ込んでたので二人とも慌てて左右によける。

 これは、どっちもスタントかなぁ? 良く分からない。
  
 バイクに吹っ飛ばされたように、激しく転がる石津。

 石津、かつては自らバイオフィードバック戦士になろうとしたくらいだから、このくらいは余裕だったろう。
  
 いづみ、慌てて石津に駆け寄ろうとするが、
 その前をバイクが横切る。
  
 バイク、Uターンすると、再び石津目掛けて突っ込んでくる。石津、飛び跳ねてかわすが、
 今度は背後から、別のバイクが襲ってくる。石津、よろけながら後退する。
 いづみ「大丈夫?」
 石津「ああ」
 バイクは、今度は二人を威嚇するようにじりじりと近付いてくる。
  
 石津、チラッといづみの顔を盗み見る。
 石津「どうする?」
 いづみ、石津の腕を掴んで、バイクから守るように身構える。
  
 が、それ以上後退することは難しい。その後ろは、険しい斜面になっていたからだ。
 互いの体を支えにして、バランスを取ろうとするが、
 1台が前輪を上げて突っ込んできたので、
 二人はやむを得ず、そこから飛び降りる。
  
 で、二人がそこからいかにもスタントマンっぽい動きで斜面を転がり落ちていく様子をそっくりそのまま流すのだが、ここは長く映し過ぎて、逆に迫力を損なう結果になっているのが惜しい。

 「いづみ」の中ではかなり大掛かり、と言うか、危険なスタントだから、カットせずにじっくり見せたいという制作サイドの気持ちは分かるのだけど、ここは途中まで落ちたところで切るべきだったろう。
  
 一番下まで落ちたところで、俳優にスイッチする。
  
 石津「あいてて……」
 いづみ「大丈夫?」
  
 いづみ「歩ける?」
 石津「ああ。……お前ひとりで、三人倒せるか?」
 石津の問いに、迷いなく頷くいづみ。
  
 いづみ、サバイバル・ソーを取り出して構えると、斜面の上にいる三人の兵士を睨む。
  
 石津、やっと間近でバイオフィードバックを観察できると、ほくそえむ。
 いづみを見下ろす三人。
  
 最初はゆっくりと下り始め、すぐに勢い良くジャンプ。
  
 さっきとは異なり、次のカットでは早くもいづみに飛び掛っている。
 最初の二人をやり過ごし、三人目の体にサバイバル・ソーをめりこませる。三人目は「うおっと」と叫んで地面に転がる。
 三人はすぐ起き上がり、いづみを攻撃する。
  
 いづみ、蹴りを受け止め、軸足を払って投げ飛ばす。
  
 が、首根っこを押さえられ、
  
 別の敵に真正面から顔面パンチを喰らってのけぞる。ここは、なかなかの迫力だ。

 更に腹をまともに殴られ、思わず前屈みになる。
  
 後方の敵のパンチを受け止めるが、今度は逆に蹴りを叩き込まれ、吹っ飛ぶいづみ。
  
 いづみ、奮闘するが、三人はかなり手強く、苦戦を強いられる。
  
 肘打ちが顔に入り、派手に斜面を転がる。無論、これはスタントである。

 いづみが長い間逃げ回って体力を消耗していることを差し引いても、この三人は相当の強さである。
 3話のターミネーターほどではないが、それに近い戦闘能力を有していると思われる。
 ただ、ここも、いづみの体が止まるまで映し続けるのはいただけない。アクションシーンで、視聴者に「本人か? スタントか?」と考える余裕を与えるべきではない。
  
 考えたら、いづみがこんなに苦戦するのは、初めてだ。

 石津(使え、使うんだ、いづみ!)
 石津、心の中で叫ぶ。
  
 いづみも、バイオフィードバックを使おうとするが、先日の、「同じ高校生になろっ」と言う恵子の言葉を思い出す。

 回想シーンで、本編では省略された台詞が続く。
 恵子「あの力使っちゃだめよ」
 佐織「いづみ先輩はいつもそれを望んでた筈です」

 いづみ、バイオフィードバックを制御することはまだ出来ないと思うが、過去の経験から、感情の爆発がその引き金になることを知っていて、なんとか気持ちを落ち着かせようとしていたのではないだろうか。
 兵士たちがいづみのところに降りてくる。いづみ、なんとか戦おうとするが、じりじりと追い詰められて行く。
 蹴られ、うつ伏せに倒れるいづみ。
  
 背後に立った敵の右足蹴りを肘で受け止めようとするが、そのまま押し潰されてしまう。
  
 更に、いづみを無理矢理立たせ、顔面にエルボーを叩き込む。

 そのいづみの脳裏に(いづみぃ)(いずみ先輩!)と、二人の声が響く。
 (いずみ!)
 ついでに、健の声も。
  
 ゴトッと音を立てて仰向けに倒れるいづみ。

 要所要所でスタントが入るが、多くの場面で女優本人が演じているのが、リアリティを生んでいる。
 いづみ「恵子、佐織、健……」

 仲間の名を呼ぶいづみ。
  
 と、ここで、一台のジープが走ってくる。

 石津がもう正体を隠す必要がなくなったと、滝沢の運転するジープに乗って現れたのだ。
  
 真新しいスーツに着替えた石津、ジープから身を乗り出し、
 「いづみがバイオフィードバックを使わん気なら用はない、潰せ!」
  
 車に戻ろうとして振り向いた石津と、いづみの視線が激突する。

 「やっぱりあなたが、私の敵!」
 ここで、バイオフィードバック実験場での悪夢のような記憶が甦る。
  
 石津「バイオフィードバック、戦う意志がお前を最終兵器に変える。……バイオフィードバック、戦う意志がお前を最終兵器に変える!」

 あの決まり文句は、この時、いづみの耳に響いていたものだったのだ。
 ま、最初は「お前の肉体を〜」だったんだけどね。

 しかし、延々と石津が「バイオフィードバック〜」と語りかけていたのかと思うと、ちょっと笑える。
  
 (死ねない、まだ死ぬ訳には行かない、私は許さない、私から全てを奪ったお前を! お前だけは!)
  
 心の中で叫びながら、不屈の闘志で立ち上がるいづみ。
  
 別アングルからもう一度。
  
 もうひとつおまけ。

 復活したいづみに、たじろぐ三人。
  
 ひとりが攻撃しようとするが、いづみはそいつなど眼中にないように前蹴りで払い除ける。
 この蹴りとか、とてもアイドル女優とは思えない。
  
 で、このタイミングでバイオフィードバックが発動!

 当然、石津のいつもの台詞も繰り返される。
  
 髪の毛が逆立った後、カメラがいづみの左目、右目へとズームする、いつもの演出。
 肉眼で初めてバイオフィードバック発動の瞬間を目撃した石津。
  
 ここから、いつものように映像が加工される。
 手強いと見て、靴の先から針を生やす三人。
  
 いづみ、その蹴りをチェーンで受け止める。だが、敵もさるもの、足首を曲げていづみの顔面を狙う。
 石津(無意識のうちに、あの力を目覚めさせた。豊かな感受性、秘めた野性の感性だ……)
 石津「バイオフィードバックの力が見えた!」

 見えたそうです。あらまあ。

 でも、今まで、映像で何回も見てる筈なんだけどね。
  
 いづみ、まずひとりをチェーンで首を絞めて倒す。
 残る二人、左右からいづみに蹴りを放つが、いづみが素早くよけたため、互いの体に針を刺してしまう。
  
 それでも、タフな彼らはなおもいづみに向かって行くが、いづみは体を回転させて二人を蹴り飛ばす。

 ここ、いづみがワイヤーで吊られているみたいなのだ。ほんの少し浮くくらいだけどね。
  
 いづみ、ひとりの腕を取って、へし折る。
  
 最後の一人を立たせ、拳を構えるが、顔の前で止め、
 いづみ「命だけは……」
 恐怖のあまりか、三人目はそのまま気絶してしまう。
 石津「よく私の声を覚えていてくれたな、いづみ。バイオフィードバック、何故お前だけが成功したのか、その能力の秘密は掴ませて貰った」
 と言うのだが、バイオフィードバック成功の秘訣が、最後まで曖昧なままなのが物足りない。
 石津「我々がこの日本を、陰から動かす日はもうそこまで来ている! もう一度言う、いづみ、われわれの組織に戻って来い!」

 無論、そんな呼びかけに、「ハイ喜んで!」などといづみが応じる筈もない。
  
 答える代わりに、胸に下げていた認識票を掴んで、引き千切ると、石津に向かって投げる。
 石津、それをキャッチする。
 いづみ「私は五条いづみ、番号は要らないわ!」
 いづみ「人を兵器に変えて、番号をつけて若者たちの未来を奪う、それがどれだけの若者たちの怒りと悲しみか、あんたなんかに分からないわ! 私はあんたを、その組織を決して許さない。犠牲になった人たちの為に、未来の為に私は戦う!」

 実にカッコイイ啖呵であるが、「犠牲になった人たち」と言われても、(視聴者が)すぐに思い浮かべる人がいないというのが、遺憾である。せいぜい、4〜5話に出てきた神谷なんとか言う若者くらいか。本来なら、もっとたくさんの犠牲者がいづみの前に現れた後、この台詞は石津に叩き付けられる筈だったのだから、しょうがないけど。

 いづみの宣戦布告を受け、
 石津「どうやらお前とは戦う以外に道はなさそうだな!」

 と、ここでやっと藤原たちの車が近付いてくる。
 石津「また会おう、いづみ。覚えておけ、俺は石津麟一郎だ。この次会う時は戦争だ

 ジープに乗り込みながら、寒い捨て台詞を残す石津。
  
 藤原たちの目の前を堂々と走って去っていく石津のジープ。
 入れ替わりに、恵子と佐織がいづみの名を呼びながら斜面を降りて行く。
 東大寺も続こうとするが、藤原が腕を伸ばして制する。
 恵子「いづみ、大丈夫?」
  
 いづみ、表情を和らげ、傷だらけの顔を、恵子、佐織に向ける。
 佐織「あの人が、あの人が私に嘘の証言を……!」
 いづみ「いいの、もう全て分かったから」
 恵子「いづみひとりじゃ戦わせないから、絶対くっついて離れないからね!」
 いづみ「恵子!」
 恵子「何も言わないでね。イヤだなんて言わせない」
 佐織「わたし、三枝佐織に撤退の文字はありません!」
 おどけて、敬礼をして見せる佐織。
 思わず笑顔になるいづみ。
 いづみ「佐織!」
 恵子「いいわね?」
 いづみ、大きく頷く。

 佐織「やったやったやったーっ」
 飛び上がって喜ぶ佐織。
 カメラが引くと、夕陽の作る長い影が、実に良い「絵」になっている。
 石津「プロトタイプ1号の役割は終わった。いづみは抹殺する」
 滝沢(何でもしたいようにやれば?)

 いづみを殺すなとか、奪還しろとか、観察しろとか、力を試せとか、かと思えば殺せとか、コロコロ意見の変わる上司に、滝沢もいい加減ウンザリしていたのではないかと、管理人の妄想です。
 佐織「お腹空いたなぁ〜」
 恵子「私もお腹空いた」
 いづみ「あ、痛いっ、いったぁー」
 今頃になって傷の痛みを訴えるいづみ。
 と、恵子と佐織が競うようにハンカチを取り出していづみに差し出す。
 いづみ「うふっ、ありがとっ」
 いづみ、両方のハンカチを受け取って顔に当てる。

 なお、今回から、EDが五十嵐いづみの「素直になれなくて」に変わる。タイトルバックは基本的に同じである。
 5回しか使われなかった曲だが、これもなかなか良い曲だった。



アバン Aパート Bパート 予告

 恵子「さぁ、いづみ、二度とない青春、パーッとやろう、パッと」
 いづみ「ありがとう、私だって傷付けあうことなんかしたくない。それにあの組織を潰さない限り、私たちに本当の意味での青春は来ないわ」
 恵子「いづみぃ」

 一応、恵子といづみの掛け合いだが、笑いもなく、極めて短い。

 映像についてだが、今回はほとんど本編との違いは見られない。
  
 せいぜい、最後に佐織が運ばれる時のシーンぐらいだろうか。
 左が予告編、右が本編である。多少、アングルが異なる。