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第10話

花を売る女戦士 NEXT 目次へ
監督 大井利夫 脚本 神戸一彦
アバン Aパート Bパート 予告

 今回も、メインストーリーとは関係のない単発エピソード。もっとも、最終的には石津の部下と戦うことになるのだが。

 11話から、早くも終盤に突入してしまうので、こういう気楽な(?)エピソードはこれが最後となってしまう。繰り返しになるが、せめて2クールくらい放送が続いて、こういう単発エピソードがもう5話くらい作られていたら、とても幸せになれたと思う。
  
 それはともかく、今回は夜の港の風景からスタート。隣接する倉庫の中に、モデルガンを構えた少年の姿があった。
 後に分かるが、彼は北里イサオ(駒崎涼太郎)と言い、花屋をきりもりしている北里マリコの弟である。
  
 イサオは、見張りの目をかわして奥へ進み、サバイバルナイフでとある木箱をこじあける。その中には、油紙に包まれた特殊な形状の銃が入っていた。
 イサオ「ああー、かっこいいー」
 マガジンには、ちゃんと実弾がセットされていた。
  
 早速スコープを覗いて、「ババン!」と撃つ真似をする少年。
 と、たちまち「誰だ!」と言う声がして、ライトが直射される。
  
 「待てえ!」と、ライトを持った二人の男が追ってくるが、イサオは狭い通路を抜けた後、振り返って、盗んだ銃を彼らに向ける。二人は慌てて下がって、身を隠す。

 実弾入れたまま保管してるから、こういうことになるのだ。

 イサオはニヤリと笑って走り去る。
 その短いシーンを置いてから、いつものバーガーインの風景となる。
 ただし、今回は奥の部屋ではなく、カウンターで話しているいづみたち。
 BGMは、「NO MORE TOGETHER」(アルバム「A」収録)である。

 恵子「そんなに怒ることないじゃーん! いづみのこと考えてやったげたんだから」
 いづみ「だからって、勝手に保険に入れちゃうことないでしょう?」
  
 佐織「そんなこと言ったって、怪我したら誰が面倒見てくれるんですか?」
 恵子「そうそう」
 二人の言葉に、いづみはそっぽを向いてみせる。

 どうやら、二人に勝手に保険(傷害保険?)に加入させられたらしい。
 しかし、表向きは3年前に死んだことなっていて、保護者もいないいづみが、簡単に保険に入れるとは思えないが……。

 第一、家賃・生活費・学費に加え、保険料まで支払えるほど、いづみは稼いでないだろう。
  
 佐織「これからは老後のことだってちゃーんと考えなくちゃいけませんよ、いづみ先輩。はい、どーぞ」
 例によって、いづみの注文はただの水。
 そこへ、客が入ってきて、「あ、いらっしゃい」と、佐織が笑顔になる。
 入ってきたのは、見掛けない若い女性。
 後に分かるが、彼女がイサオの姉・マリコなのだ。
 マリコ「あのー、事件を解決してくださる方はこちらでしょうか?」
 また「事件解決業」かと、目をぱちくりさせるいづみ。
  
 恵子「私は営業取締役の湯浅だけど」
 マリコ「どうも」丁寧にお辞儀をして、「……実は、弟のことでちょっとご相談したいことが……」
 恵子、みなまで言わせず「あっ、それだったらあっち」と、マリコの肩を押して、奥の部屋へ通じる通路へ案内する。
  
 入り口のところで振り返り、「早く」と言いながらいづみを手招きする。

 この、何か企んでいるような恵子の顔、好きだわ〜。ついでにその後の横顔も好き(知るか)。
 なおも、いづみに諄々と「保険の素晴らしさ」を説いている佐織。
 「保険に入れば、安心してお仕事が出来るでしょ、いづみ先輩!」
  
 それだけ言うと、先にカウンターを出て、奥の部屋へ向かう佐織。
 それを見ながら、溜息をつくいづみであった。

 ここでOP。

 しかし、いづみ、実際に保険に入ったらしいのだが、この後、負傷した際などにそれが活用された形跡は見られない。
 結局、いづみがすぐ解約させたのかも知れないが。



アバン Aパート Bパート 予告

 CM後、全員、奥の部屋に集まっている。……店は?
  
 「スタート!」の合図で振り向いて話し始めるマリコさん。

 マリコ「三日前、弟のイサオが夜遅く帰ってくると……」

 マリコを演じるのは、布瀬智子さん。「いづみ」のゲスト女優の中では、際立って綺麗な女優さんである。

 ちなみに彼女、前作(?)「スケバン刑事3」の16話では、由真のライバルのスケバンを演じていた。
 太田涼子役を演じる布瀬智子さん。この時は、芸名も太田涼子だった。
 たった1年前だが、ニキビが目立っていかにも若い。
 得意の武器は、二刀流のハサミ(笑)。

 閑話休題。
 マリコ「それっきり部屋に閉じこもってしまって学校へも行こうとしないんです」
 いづみ「自閉症なら、ここじゃなく病院ね」

 ここで、「いづみ」の中でも最大の問題発言が飛び出す。
 今だったら、地上波では絶対NGの偏見に満ちた台詞である。

 まぁ、同時期の他のドラマでも、自閉症に対する似たような認識を思わせる台詞が散見されるので、あながちこの番組スタッフだけの問題とは言えないだろう。かくゆう筆者にしても、自閉症について人に説明できるほど知ってはいない。
  
 マリコ「いえ、それが、昨日からお店の周りを変な男の人たちがうろうろし始めて何か探ってるようなんですけど」
 ここで、少し唇を湿らせるマリコさん。緊張してたのかな?
 マリコ「事件に関わっていたらと思うと……」
  
 恵子「分かった、弟さんに事情を聞いて、店の周りをうろつく男たちを調べ、撃退する」
 マリコ「よろしくお願いします」

 恵子たちとさほど年は違わないと思うが、とても礼儀正しいマリコさん。生花店を経営している立派な社会人なのだ。
 恵子「やってくれるわよね、いづみ?」
 簡単に請合う恵子だが、実際に仕事をするのはいづみなのである。
 いづみ「どうしろって言うの?」
 気乗り薄ながら、一応そう聞くいづみ。
 恵子「とりあえずぅ、お店を手伝って様子を見る」
 いづみ「お店ぇーっ?」
 マリコ「弟と二人で、小さいんですけど、花屋をやっています」
 いづみ「花屋……」
 と、横で聞いていた佐織が「やります! 私手伝います!」と、嬉しそうに叫ぶ。
  
 いづみの肩を揺さぶって、「ねえ、やりましょうよ、いづみ先輩!」
 佐織「いいな、いいなぁ、私チューリップだぁい好き! ねえ?」

 いかにも女の子らしい、何の意外性もない発言をする佐織だが、やっぱり可愛い……。
 恵子(腕を組んで)「もぉ〜」

 やれやれ、と言った顔のいづみの上に、サブタイトルが重なる。

 それにしても「春を売る女戦士」じゃなくて、「花を売る女戦士」で本当に良かった(何を言うとるんだおまいは)。
 ここで、場面が変わり、滝沢(神名良二)と、石津の後頭部が映し出される。石津のオフィスのひとつだろう。
 滝沢(受話器を持ったまま)「奪われたサーモセンサースコープガンは一両日中に回収できると」

 現場の部下から報告を受けているのだろうが、実際に電話でやりとりしているシーンがあったが、カットされたのだろう。
 そう、イサオが入り込んだ倉庫は、「謎の組織」の所有する倉庫だったのだ。

 石津「他の武器も、至急別の場所へ撤収させろ」
 神名「はっ」
 石津、立ち上がって歩きながら話す。
 石津「我々が独自に開発してる兵器は、全て『来るべき日』の為の物だ。まだ実験段階の物もある」
 ソファに座ってこちら向きになるが、スタンドの傘でなおも顔を隠そうとする石津。恥ずかしがり屋なのだろうか?
 石津「それまでは、静かに眠らせておかねばならん」

 イサオ、あろうことか、石津の開発している最新の銃を盗み出してしまったらしい。
  
 さて、いづみたちは早速マリコのやっている花屋へ到着。
 マリコ「イサオは2階にいます」

 マリコ、ポケットから鍵を出して店を開けようとする。既に、油断なく周囲に目を配っているいづみ。
  
 すると、店の横の路地に隠れていたサングラスの二人の男が、いきなりマリコに躍りかかり、
 男「弟を出せ!」
 マリコの吐く息が白い。

 なお、背後にちゃんと「KITAZATO HANATEN」の看板が出ている。

 しかし、彼らはイサオが銃を盗んだことを知っているのだから、なんでわざわざマリコが帰ってくるのを待って動き出したのだろう? マリコが出掛けた隙に、家に侵入すれば簡単にイサオを確保できただろうに。

 それに、いづみたちもいるのに、一切構わずマリコに襲い掛かっているのも変である。
 いづみ、もう一人の男の手首を持って捻る。
 男「うぐぅっ」
  
 さらに、恵子と佐織が勇敢に男に掴みかかり、佐織が男の手を噛んで、マリコを助ける。
 男「いでででで……ぎゃーっ!」
  
 男から逃れるマリコ。いづみは別の男を振り払ってから、佐織を殴ろうと追いかける男に蹴りを放ち、
  
 さらに、左掌底を男の顔面に叩き込み、ぶっ飛ばす。
 二人は、かなわないと見てあっさり退散。
 いづみ(鼻から白い息を吐きながら)「あいつらは?」
 マリコ「分かりません」
  
 恵子、いづみの横に出て、「いづみっ、闇学中の連中で奴らを探すわ」
 恵子、いづみの顔をちらっと見て駆け出す。いづみも小さく頷きを返す。

 残念ながら、恵子はこのまま花屋から離れてしまい、彼女のエプロン姿は見られないまま終わってしまう。
 まぁ、さすがに三人で店を手伝うのは変だけどね。

 そして無論、「闇学中の連中」が実際に画面に出てくることもない。
 さて、そんな騒ぎも知らず(部屋の直下なら気付きそうなものだが)、ベッドの上に座り、例のサーモセンサースコープガンをいとおしそうに構えては「バーンバーン」と口で撃つ真似をしているイサオ。ガンマニアらしく、部屋には銃のイラストなどがべたべた貼られている。

 マリコ「イサオ入るわよー」
 イサオ「ちょっと待ってー」
 イサオ、急いで銃をベッドの下に隠すと、ジャンプを手にとって読んでいるふりをする。
 イサオ「いいよー」
 マリコ「どうぞ」
 マリコ、いづみと佐織を連れて部屋に入ってくる。

 ドアの左脇には、ミル・マスカラスか何かのポスターが堂々と貼ってある。
 壮絶なまでにモテない部屋だ。
 そのモテない部屋に、二人の美少女がやってくると言う奇跡が起きるのだが、思春期の少年らしく、イサオは無言で仏頂面を向ける。
 マリコ「今日からこの人たちにお店手伝って貰うわよ。いづみさんと、佐織さん」
 佐織「よろしくね」

 二人とも精一杯愛想良く挨拶するが、イサオはつまらなそうに視線を反らすだけ。
 いづみ、イサオを見るが、何も言わない。

 次のシーンに移ると同時に、五十嵐いづみの「さよならの迷路」が流れ出す。
 手錠をハンカチで入念に磨いてから、軽く溜息をつく藤原。
  
 藤原の所属する少年課は、いかにも暇そうであった。
 藤原「やー、暇そうだねえ。ふふっ、警察が暇だってことは、それだけ世の中が平和だってこった、なぁ?」
 職員「あ、お茶入れましょうか」
 藤原「ああ、頼むわー」

 むーちゃんや東大寺以外の少年課の職員が出てくるのは極めて稀なのだが、奥の二人の女性も、手前の職員もすぐはけてしまう。
 そのむーちゃんは、爪の手入れに余念がなく、藤原に挨拶すらしない。
 藤原「ね、むーちゃん」
 藤原、どかっと椅子に座りながら、靴を履いたままの両足を武藤巡査の机の上に乗せる。
 むーちゃん、即座にそれを手で邪険に払い落とす。そして優しい声で、
 武藤「藤原さんはまた五条いづみですか?」と、訊く。

 藤原「あーっ、あいつまた、なんか似合わねえこと始めやがった」
 むーちゃん、机の上の汚れを払ってから、喋りながら立ち上がり、棚に近付いて、両手を後ろで組む。
 武藤「なんでそんなに目の色変えて追いかけるんです? ……分かったぁーっ!」
 藤原「えっ?」
  
 世紀の大発見でもしたように叫んで、勢い良く振り返る。
  
 武藤「俺ももう42だ。何か弱みをつかんで五条いづみと結婚でもしよう!」

 表情豊かに、実に楽しそうに勝手に藤原の心理を代弁してみせるむーちゃん。めちゃカワエエ……。
 意外なことを言われ、一瞬返答につまる藤原。

 まぁ、「弱みをつかんで結婚」なんてのは論外だが、藤原が徐々にいづみに惹かれていたのは間違いないので、むーちゃんの想像は全く的外れでもない。むーちゃん、14話でも、いづみを見て「あなたが藤原さんのタイプ?」などと発言していた。
  
 武藤「わっ、照れてる、照れてる」
 武藤「くちゅちゅふっ」(表記不能)

 藤原に顔を近付けて心底嬉しそうに笑うむーちゃん。めちゃカワエエ……。
 藤原、バンと机を叩き、立ち上がる。
 藤原「バカモノー、あいつはなぁ、俺がたった一人捕まえられなかった相手だよ」
 藤原「それだけだよ、他になにもないよ」
 最初は勢い良かったが、途中から弁解口調になる藤原。
  
 むーちゃんも、最初はちょっとビクッとして見せるが、すぐ馴れ馴れしく藤原の肩を指でぐりぐりしながら、
 武藤「そうかしら?」
 藤原「ふっ、嘘だと思うなら、今度、俺とデートしようか? ね?」

 さりげないチャンスをつかんで、大胆にむーちゃんを誘う藤原。可愛い。
  
 が、ここで急に素っ気無くなるむーちゃん。
 武藤「誰がー? 誰と?」
 藤原「俺と」
 武藤「誰っ?」
 完全にバカにしきった顔で、わざとらしく自分の背後を見回すむーちゃん。
 藤原「ふざけるなっ」

 さすがに藤原もキレるが、驚いて振り向いたむーちゃんの目に、依然として恐縮する様子は微塵もない。大したタマである。

 6話もだが、この10話での藤原とむーちゃんのやりとりも実に楽しい。打ち切られずに続いていたら、こういうシーンがもっとたくさん見られたのにと、無駄と分かっていても言わずにおれない。
  
 BGMはそのままで、その北里花屋の店先に切り替わる。
 マリコが商品を店先に並べていると、奥の方でいづみと佐織が何か騒いでいる。
 それを見て、思わず微笑むマリコ。
  
 いづみ「やっだぁーっ」
 エプロンを着て店先に立つのを全力で嫌がるいづみを、佐織が強引に押し出している。

 佐織、普段の言動はぶりっ子で戦闘シーンなどでは役に立たないが、こういう場面では妙にしっかりしているのだ。少なくとも、この3年間特殊訓練に明け暮れてきたいづみよりは、よほど社会性がある。
 佐織「大丈夫ですから、ちゃんとやるんですよー」
 佐織、いづみに言い聞かせると、自分の仕事に戻る。
 が、そのまま仁王立ちしているいづみに気付き、
  
 佐織「いづみ先輩……、花を売ってるんですよ、分かってます?」
 いづみ「分かってるわよー」
 (註・全然分かってない)
 佐織、いづみを店内に引っ張って、指導する。
 「じゃ、もっとニコニコして下さい。折角可愛いカッコしてるのに、いづみ先輩、喧嘩売ってるみたいです」
  
 いづみ「喧嘩ー? ……ふふっ」
 佐織に指摘されたいづみ、素直にスマイルを浮かべる。可愛い……(こればっか)。
 佐織「そーそー、そういう顔ならお客さん来ます」
 ここで、画面外から男の声で、「すいませーん」
 佐織「ほらねー」
  
 二人、振り向きざま、「いらっしゃませーっ」と、深々と頭を下げる。
 が、顔を起こした二人の笑顔が徐々に消えて行く。
 藤原「よう」
 そこに立っていたのはいづみ追い掛け回している藤原だった。
  
 たちまち白けた顔になる二人。
 藤原と彼らの関係も、最初の頃と比べてかなり縮まった筈だが、ここではまたよそよそしい感じに戻っている。

 藤原「花屋でバイトか、こんなことをして俺の目を誤魔化そうったってそうはいかねえぞ」
 佐織「あーあー、折角良い顔したと思ったのに……」
 藤原「えっ?」
 佐織「ま、いっかぁ」
 ぼやいて、エプロンのポケットに手を突っ込む佐織。
 いづみの方は、藤原を見ようともしない。
  
 藤原(500円硬貨を財布から出して)「おお、これで適当に見繕って……晴海署の武藤萌にでも届けてくれ、なぁ」
 わざわざ、いづみの手を取り、その上に500円玉を乗せるついでにちゃっかり手を握る藤原。
 藤原「テーブルに花くらい飾れってよ」
 藤原、朱色の花を一輪勝手に抜き取って香りを嗅ぎながら、さっさとその場を離れる。

 この、店に来て勝手に何かをちょろまかしてしまうと言うセコい癖、8話でも見られた(石津に言われて渋々金を払ったが)。

 しかし、この藤原の言い方、いづみたちもむーちゃんのことを知っているように取れる気もするが……?
 いづみは最後まで無表情、無反応を貫く。
 佐織、いづみの手から500円を取り、「これだけ?」と呆れ顔。可愛い……(ひつこいわっ)。
 その佐織、一旦バーガーインに中間報告に戻ってくる。そこでは、ぬけぬけと石津がビリヤードに興じていた。
 また、BGMには、これも「A」収録の「WHY DO YOU KNOW?」が使われている。

 恵子「どうだった?」
 恵子や祥子たちが待ち兼ねたように出迎える。
 佐織、中央のスツールに腰掛け、
 佐織「私一度でいいから、お花屋さんてやってみたかったんですよねー、花を届けに行くのって、なんだか幸福を届けに行くようで……いいな、いいなー」
 恵子「あのね!」
 恵子「お花屋さんをやりに行ってんじゃないのよ! 佐織ぃ」
 たまりかねて、恵子が声を荒げる。
 マーコ「そーそ」
 周りの女の子たちも、一様に頷いて見せる。

 カチューシャが可愛い祥子がアップにならないのが割と悔しい管理人であった。

 佐織「いづみ先輩も泊まったのに私も泊まって来れば良かったなぁーー」
 恵子「なんかあった時に、子供が二人もいたら迷惑でしょ」

 いづみよりよほどしっかりしている佐織だが、恵子からは常にガキ扱いされているのだった。
  
 佐織「でもあの人たちなんだったのかなぁー、いきなり弟を出せ、なんて……いづみ先輩が追い払ってくれたから良かったんですけどねー」
 恵子「うん」
 佐織「私たちに頼みに来るのが一日遅かったら、誘拐されたりして」
 恵子「ほんと、あたしもあの後みんなで男たちを捜したんだけど、見付からなかったんだよねー」
 彼らがまた自分たちのことに全く気付いていないことを聞き、密かに笑みを浮かべ、キューを動かす石津。
  
 一方、いづみ、「イサオ君、入るわよ」と、今度はひとりでイサオの部屋にやってくる。
 イサオ、例によってサーモセンサースコープガンを手に、ニタニタしていたが、慌ててベッドの下に隠す。

 イサオ「なんだよー」
 いづみ「イサオ君のこと追いかけてくる人たちって、どんな人たち?」
 イサオ「知らないよー」
 いづみ、机の上に置いてあったイサオのモデルガンを持ち、マガジンを外し、もう一度押し込む。
 イサオ「勝手に触るな!」
  
 いづみ「お姉さんが心配して相談しに来たの」
 イサオ、いづみの手からマシンガンを取り上げ、「自分のことは自分で守る。僕たち二人きりなんだ。姉ちゃんだって、僕が守る。僕が強くなって、姉ちゃんを守るんだ! 用がないんだったら出てってくれよ!」

 ドアの右側に貼ってあるサバイバル関連のポスターも、イサオのそのポリシーと軌を一にするものだろう。
 いづみ、ベッドに腰掛けてなおも「本当に心当たりはないの?」と粘る。
  
 振り向いたイサオ、いづみが問題の銃の上に座っているのを見て、血相を変える。
 イサオ「座るな!」
 いづみ「イサオくーん」
 イサオ「出て行けよ!」
 イサオ、遂にいづみを無理矢理追い出してしまう。

 この過剰な反応が、後に、いづみにサーモ〜のありかを知らせる伏線となっている。
 さて、再び石津のオフィス。
 おしゃれなクリスタル越しに、滝沢と部下の現場責任者(森篤夫)が話している。
 滝沢「回収したんだろうな」
 部下「それが……」
 滝沢「今日中にでも回収するといっていた筈だが」
 部下「ちょっとした邪魔が入りまして……」
 滝沢「邪魔?」
 石津「いづみだ」
  
 石津の言葉に、二人ともハッとして振り向く。
 石津、サングラスを外し(じゃないと良く見えないので)、「武器は撤収したな?」(石津、撤収と言う言葉が好きらしい)
 部下「はい」
 石津「いづみを呼び出せ」
 部下(滝沢?)「はっ」
 石津「サーモセンサースコープガンがいづみにどれほど通用するのか……」

 石津、いづみを練習台にして、新型ガンの性能を測ろうとしているらしいが、石津の本音は逆で、もっといづみの力を試したいのだろう。
  
 そのいづみ、ひとり残って店先の掃除をしている。
 マリコ「いづみさーん、食事でぇす」
 母屋の方から、マリコが呼びかける。
 いづみ「はーい」
 マリコ「イサオーっ」
 卓袱台に並ぶ家庭料理を見て、「わー、美味しそう」と声を上げるいづみ。
 実際、いづみがこういう食事をするのは、めちゃくちゃ久しぶりなのではないか?

 アパートに移ってから、いづみがどんな食事をしているのか、ほとんど描かれていないので何とも言えないのだが、いわゆる家庭料理をご馳走になるのは、実に3年以上ぶりなのではないだろうか? ……まぁ、何度か佐織に愛情弁当を作ってもらってるけどね。
  
 少し遅れてイサオも降りてくるが、モデルガンを持ったまま、いづみに敵意を含んだ視線を送り、台の端にモデルガンを置き、座る。
 マリコ「どうぞ」
 いづみ「すいませーん」
 いづみがモデルガンに目をやると、
  
 マリコは、いづみから隠すように、卓袱台の下に置く。
 マリコと目を見交わしたいづみ、ニカッと笑顔になるのだが、この笑顔は若干唐突に感じる。
  
 イサオにもご飯をよそうマリコ。

 マリコさん、何をやっても絵になるので、画像の貼り甲斐がある。
 マリコ「はい、たくさん食べてね」
 イサオ「いただきまーす、このハンバーグ美味しいね」
 マリコ「そう、じゃあ、野菜もちゃんと食べてね」
 イサオ「えーっ」
 マリコ「だめよ、折角作ったんだからちゃんと食べて」
 イサオ「えっらそうに、お姉ちゃんはー」

 いづみたちには敵意剥き出しのイサオだったが、姉に対してはごく素直な少年であった。
 ま、今日初めて会ったいづみと、すぐ打ち解ける方がおかしいんだけどね。
 二人の、今時「サザエさん」でもやらないようなほのぼのした会話を噛み締めるように聞いていたいづみ、「兄弟っていいなっ」と、実感を込めてつぶやく。
 その言葉に、マリコもイサオもいづみを見る。
 マリコ「いづみさんは?」
  
 いづみ、無言で首を振った後、再び笑顔になって、「でも、変な友達がいるわ!」
  
 その後、店内の明かりが消される。
 いづみ「戸締り終わりました」
 マリコ「どうも、あ、これ私のなんですけど、使ってください」

 赤いパジャマを渡されるいづみ。
 考えたら、いづみがこうしてまともに労働したのは、これが初めてじゃないかなぁ? 8話でビラ配りのバイトはしていたが。
 そのことで、特に感想を述べることはなかったが、いづみにとってはかなり新鮮で充実した一日ではなかったのだろうか?
 イサオの方は、ドアにつけた的に、玩具のライフルでペイント弾のような物を撃って喜んでいた。
 マリコ「電気消しますよー」
 いづみ「あ、はい」

 布団を並べて寝ようとしている二人。
 いづみが他人と一緒に寝るというのは、このシーンだけである。5話では、恵子が寝ている間は見張りをしていたからね。
  
 いづみ、急いで布団の中に体を滑り込ませるが、礼儀正しいマリコは布団の上に正座して、深々と頭を下げながら、「おやすみなさい」と挨拶。
 いづみも慌てて正座して、「おやすみなさい」と声を揃えて言う。
  
 何時頃か、まだそれほど遅い時刻ではないと思うが、二人はぐっすり眠っていた。
 と、窓ガラスを割る音がして、何かが投げ込まれる。いづみ、すぐに目を覚ます。
 二人の間に発煙筒が転がり、煙を吐いている。
 マリコ「キャーッ!」

 窓を突き破り、ガスマスクをつけた二人の男が飛び込んでくる。
  
 いづみ、ひとりの男の胴にエルボーを叩き込み、
 後ろから突っ込んできたもうひとりの男の腕を取り、ねじ伏せようとするが、ひっくり返され、
 逆に羽交い絞めにされる。
 男「うっ」
 カシャカシャと玩具の銃の発射音がして、男の背中に赤い弾が何発も張り付く。
 無論、騒ぎを知って降りてきたイサオが撃ったものだ。

 玩具と言っても威力は強く、男はいづみの体を飛び越えるように吹っ飛ばされてしまう。
 イサオ、ゴーグルをつけ、ホルスターにも銃を提げた、完全武装であった。

 うーん、しかし、さすがに手際が良過ぎるな。まさかそんな格好で寝ていた訳でもあるまいに。
  
 イサオ、もう一人の敵にも銃を撃つ。吹っ飛んだ敵がイサオに向かっていくが、いづみが腹を蹴って中を舞わせる。
 マリコ「イサオーっ!」
 いづみ「2階に行ってなさい!」

 マリコ、銃を構えるイサオをそこから無理矢理連れて行く。
 いづみも、別の敵を壁に押さえつけながら、鋭く指示する。
  
 二人が奥に引っ込んだイサオに近付こうとするのを、懸命に邪魔するいづみ。

 無論、ここも五十嵐いづみさん本人がアクションを演じているが、特にこの連続蹴りは見事だ。
 結局二人は諦めて入って来た窓から逃げてしまう。
 いづみ、夜の路上へ出て追いかけ、
  
 再び小競り合いを演じる。

 キャプ画では分かりにくいが、この時、背後の方でギャラリーがしっかりこちらを見ている。
  
 と、マリコが走ってきて、「いづみさーん、イサオが、イサオが……」
  
 マリコの声に思わず振り向くいづみ。その隙に二人は逃走。

 いづみはすぐ店に向かって走る。
  
 イサオの部屋に上がると、イサオの姿がなく、窓が開けっ放しになっていた。
 また、こんなメモがナイフで突き立てられていた。

 いづみたちを襲った二人は、最初から囮の役だったのだろう。いづみが戦っている隙に、別の敵にまんまとイサオを攫われてしまったようだ。
 しかし、この書置きはあまりに漠然とし過ぎている。いづみたちがサーモセンサー〜のことを全く知らなかったら、どうするつもりだったのだろう? せめて「例の銃を」と、書き加えるべきだったろう。
 もっとも、いづみはイサオが何か隠していることも、敵に狙われる原因がそれにあることも、ほぼ推知していたので、メモを読むとすぐイサオのベッドに飛んで、手当たり次第に銃を調べ始める。
 マリコ、やや不自然に動きでフレームインし、
 マリコ「イサオはガンマニアで……」
  
 いづみ、あっさりとサーモセンサー〜を見付ける。マガジンを抜いて確かめ、
 いづみ「これだけは本物よ」
  
 マリコ「そんな筈ありません!」
 マリコ、いづみの手から銃を取り、ためつすがめつしていたが、明らかにただの玩具でないことに気付く。
 険しい眼差しを向けるいづみ。
 1階に降り、ゴトッと音を立ててサーモセンサー〜を置いて、ぽつぽつと話し始めるマリコ。既にパジャマを着替え、いづみもいつものフライトジャケットを着ようとしている。
 マリコ「イサオは、いつも日之出埠頭でサバイバルゲームをして遊んでいたんですけど」
 いづみ「サバイバルゲーム?」
  
 ピンク色のジャケットを手にしながら、
 マリコ「ええ、2年前に事故で両親を亡くしてからなんです。イサオは、これからはもう誰も助けてくれない、自分が強くならなくちゃダメなんだって……」
  
 マリコ「それからなんです、色々な銃やナイフに凝りだしてしまったのは……」
 振り返り、
 マリコ「それが、いつだったか、ある倉庫で本物の銃を運んでるのを見たって……あたし全然信じなかったんですけど、それからは毎晩のように出掛けて行って……」

 マリコさん、そんな重要なことをなんで今まで黙ってたの! と言いたくなるが、マリコ自身が言っているように「全然信じ」ていなかったので、話す必要もないと考えていたのだろう。
 いづみ「そこでこの銃を……」
  
 いづみ「心配しないで、イサオ君は無事に連れて帰るわ」
 いづみが銃を持ってひとりで行こうとするが、
 マリコ「待って下さい! あたしが行きます。あたしに行かせて下さい」と、いづみの手から銃を取り上げる。

 マリコ「イサオに、本当に強くなる為に何が必要なのか、教えてやりたいんです」
 さっさと行こうとするマリコを、今度はいづみが呼び止める。
 いづみ「それを持って行けば、イサオ君は返してくれるかも知れない。でも、無事に帰ってこれる保証はないわよ」
 いづみ「私が行くわ。そのことは、私にも関係のあることなの」
 マリコ「え」
 いづみ「あなたは、イサオ君を助けてあげなさい。私は奴らを倒す。奴ら、この銃と、私を待っているの」
  
 マリコ「いづみさん!」
 いづみ、驚くマリコに、笑顔を見せる。



アバン Aパート Bパート 予告

  
 CM後、早くも指定の日之出埠頭に来ている二人。
 いづみ「ひとりでイサオ君を助けに行こうとしたあなたの気持ち、きっとイサオ君にも伝わるわ」

 やがて、第4倉庫の前に到着。
 顔を見合ってから、
 いづみ「行くわよ!」

 同時に、BGM「ESCAPE」がスタート。早くも戦闘ムードが濃厚になる。
  
 時間が押しているので、あっという間に縛られているイサオのところへ到達する。
 マリコ「イサオーっ」
 イサオを見て、躊躇なく駆け寄る姉。
 いづみは、その場に残って周囲を警戒している。
 マリコが猿轡を外し、ロープを解こうとしていると、
 イサオ「姉ちゃん、僕、もっと強くなりたい!」
 荷箱の陰に立ち、油断なく周囲を見張っているいづみ。
 倉庫には、無論、現場責任者……役名が分からないので、便宜上、役者さんの名前を借りて、森と呼ぶ……がいづみの来るのを待ち構えていた。
  
 手書き感溢れるスコープ越しに、二人の側に移動するいづみの姿が赤く映って見える。
 森「いいか、このスコープは体温を感知してナイトビジョンに切り替わる。暗闇でもこいつが、目標を探し出してくれる。スイッチを入れろ。……行け!」
 三人の部下に説明し、指示する。
 いづみ「早く外に出なさい」
 イサオ(モデルガンを取り出し)「僕も戦う!」
 マリコ「これはゲームじゃないのよ」
 いづみ「私がやられたら、お姉さん誰が守ってあげるの?」

 いづみの言葉に、黙り込むイサオ。

 マリコ「いづみさんは?」
 いづみ「大丈夫、さ、早く!」

 「いづみ、銃を捨てろ!」
 彼らの頭上から、森の声が響く。
 森「そうすれば、二人は助けてやる!」
 
 いづみ、何の迷いもなく銃を、彼らに見えるように放り捨てる。
  
 マリコ「いづみさん!」
 いづみ「いいから早く」
 姉と弟、顔を見合わせ、頷いてからその場を離れる。
 去り際、イサオ「助けに来るよ」

 森「こんな形で、組織の作り上げた最終兵器に出会えるとは思わなかったぞ、いづみぃ」
 いづみ「やっぱり、組織の武器庫!」
 森の言葉で、事件の背後に「謎の組織」が存在していたことを確信する。
  
 森「こんな倉庫を毎晩見張っていた奴がいたお陰で、お前に会えた。テストを開始する!

 照明が落ち、真っ暗になる。
  
 無論、サーモセンサースコープ越しに見ている森には、いづみの動きは丸見え。
  
 ドラム缶から覗くいづみ目掛けて、いきなり実弾を撃つ森。石津からは、「いづみを殺しても構わん」と命じられているのだろう。
 いづみ、ドラム缶の背後に隠れて、弾をかわす。
 森「あの二人は、明日にでも事故で死ぬことになる」

 言わずもがなのことを口にする森。
 それがいづみの怒りに火をつけ、バイオフィードバックの発動につながる。

 石津の声「バイオフィードバック、戦う意志がお前を最終兵器に変える!」
 カメラが急接近してから左右にパンするいつもの演出。
 バイオフィードバック発動完了を示すいづみのアップから、「エスケイプ!」のイントロがスタート。
  
 部下の一人が、荷箱の間から出て来たいづみに発砲する。弾はいづみの背後でキュイーン!と、鋭い金属音を放つ。

 ……おもっいきり、狙いが逸れているように見えますが?

 やはりまだ試作段階と言うことなのだろうか?

 追って来た男の足を払い、反撃するいづみ。ここは、いつもの特殊な画面効果が施されている。
  
 が、敵も組織のコマンドである。逆にいづみの顔面に蹴りを入れる。
  
 背後のドラム缶の上に倒れるいづみ、迫って来る相手を蹴り返し、
  
 さらに、至近距離から撃たれた弾をかわすと言う人間離れした動きを見せる。

 しかし、こんな近接戦闘では、サーモセンサーもあまり意味がないような……。
  
 いづみ、なおも向かってくる相手を投げ飛ばす。相手は着地してすぐこちらに銃を向ける。同時に、その後ろに、別の敵が現れて、銃を向ける。
  
 いづみが最初の敵と揉み合っているところを、後ろから狙撃しようとする第二の敵。
  
 いづみ、サバイバルソーのチェーンで相手の動きを封じようとするが、敵も簡単にはやられない。
  
 いづみ、かなりのピンチだったが、ここで後ろの敵が痺れを切らし、適当に発砲してしまう。
 が、いづみが素早く動いた為、弾はその向こうの仲間に命中してしまう。撃たれた方も、混乱したのか、怒ったのか、反射的に撃ち返してしまう。

 こうして、二人とも仲間の弾に当たって倒れてしまうという、いづみにとってはラッキーな展開となる。

 しかし、いづみに不利な条件とは言え、これだけフィードバック後のいづみを苦しめた最初の部下、第3話のターミネーターほどではないが、「謎の組織」のコマンドの中ではかなりの強敵であったと言えるだろう。
  
 すぐに、三人目の部下が銃を構えて接近してくるが、こちらはいづみに頭上からサバイバルソーでハンギングされ、あえなくダウン。
  
 その後、森のスコープの中で、荷箱の上からジャンプして着地するいづみ。無論、これはスタントである。
 いづみが荷物の陰に入ると、その姿が見えなくなる。
 「どこだっ」
 と、狼狽した声を上げる森。

 うーん、物陰に隠れている敵が見えないのでは、サーモセンサーの意味がないような……?
  
 いづみ、サッと飛び出すと、そばにあったパレットをつかみ、
  
 バイオフィードバック戦士ならではの怪力でそれを持ち上げ、森めがけてふん投げる。
 ただし、狙いは森自身ではなく、彼が立っている台の脚だった。
 森「うおっ」
 上からのアングル。
 森「うわーっ」
 台はたちまち崩壊し、森もその下敷きになる。
  
 いづみが涼しい顔で倉庫から出てくると、イサオとマリコがこちらへ向かって駆けてくる。
 マリコ「イサオーっ」

 恐らく、一旦倉庫から離れた後で、イサオが姉が止めるのも聞かず、いづみを助けに来たのだろう。
 マリコ「いづみさん……」
 いづみ、マリコに大きく頷いて安心させてから、持っていたサーモセンサー〜を、「はい」と言ってイサオに差し出す。
 いづみ「欲しいんでしょ? ……どうしたの?」
 イサオ、拳を強く握り、その誘惑を断ち切る。
 イサオ「要らない!」
 いづみ「そうねえ、こんなもので守って貰っても、お姉さん喜ばないもんねっ」

 いづみの言葉に、イサオは姉の方を見て小さく頷く。
 いづみ「じゃあ、捨てていい?」
 イサオ、少し迷った末、首を縦に振る。
 それを見て、とびきりの笑顔になるいづみ。その場所から、銃を海に向かって放り投げる。ボチャンと音を立て、銃が暗い海に沈んでいく。
 それを見詰める二人。
  
 イサオはさらに、前に出ると、ホルスターのモデルガンを抜いて、惜しげもなく海へ投げ捨てる。
 マリコ「イサオ!」
 イサオ、無言でもう一丁の銃も投げ捨てる。
 物陰から、その水音を聞いているのは、石津のおじさん。
 石津(いづみに通用しない兵器など、いくら開発しても無駄か……)

 石津の独白で、結局サーモセンサー〜は、開発中止に追い込まれた様子。
 ……ま、わざわざ開発しなくても、既に似たような武器はあると思うけど。

 ただ、石津は前に、彼らの開発している武器は全て「来るべき戦い」に向けてのものだと発言している。「来るべき戦い」は、別にいづみのようなバイオフィードバック戦士を相手に行うものではないと思うので、いづみに通用しなかったから開発中止と言うのは、矛盾しているような気がする。

 ちなみに、森はマリコたちも後日処分するような物騒なことを口にしていたが、無論、そんなことは実行されなかった。石津が問題の銃を開発中止にしたから、と言うより、そもそもあれは、森が独断で口にした台詞か、あるいはいづみを怒らせてわざとバイオフィードバックを発動させる為、石津が授けた策略だったのだろう。
  
 マリコ「全くもう、イサオはもう〜」
 イサオ「やめてよー」
 じゃれあいながら歩く姉と弟。

 二人の様子をやや羨ましそうに見ながら続くいづみ。
 幸か不幸か、いづみの花屋さん生活も、たった一日で終わってしまった。
 いづみ、やや真面目な顔になり、
 (この街で、私たちのすぐ隣でも、組織は動いている)
  
 翌日、北里花店。BGMは、「I SAY, I LOVE YOU」がサビのところから使われている。
 マリコ「どうもありがとうございました」
 マリコ、OL風の女性客に商品を渡している。

 イサオ「他に運ぶものあるの、お姉ちゃん?」
 マリコ「こっち……」
 イサオもすっかり明るさを取り戻し、店の手伝いをしている。

 で、何故か、佐織ひとりが引き続きそこで働いている。
 佐織が純粋に花屋で働くのが好きと言うのもあるだろうが、一応念の為、しばらくマリコたちの身辺を警戒しておこうと恵子たちが考えてのことかもしれない。
  
 と、その佐織の前に、見覚えのある後ろ姿が立ち、背中で手を組んで身をかがめ、「すいません」と声をかける。
 佐織、すぐ立ち上がって「あ、いらっしゃいませ」
 その顔を見上げて、軽く驚きの目を見張る佐織。
 佐織「あのう、バーガーインでお会いしたことが……」
 他でもない、それは石津麟一郎であった。
 佐織の問いには答えず、アドレスの書かれた封筒と1万円札を取り出し、
 「ここに花を届けてくれないか?」
 万札を渡された佐織、「はい、分かりました」と笑顔で答える。

 石津の鷹揚な態度は、厭味を並べた挙句、500円で花を届けてくれと頼んだ藤原のセコさと、実に良い対照を成している。
 そう言えば、藤原の注文はちゃんと処理されたのだろうか?
 石津「よろしく」
 爽やかな笑顔を見せる石津。

 佐織、3年前、彼女を脅して偽証させたその相手だと気付くことはなかった。
 石津、踵を返して、朝の街並みの中へ消えて行く。

 おじさん、めっちゃこっち見てる。
  
 上客と言うことで、早速花束を持って指定の場所へ向かっている佐織。
 佐織「4の16の2……」
 佐織、封筒のアドレスを見ながら歩いてきて、自分がいつの間にかバーガーインの前に立っていることに気付く。
 佐織「あれー、なんだー、この住所ってサキのことじゃない」

 佐織、独り言を言いながら、カードを花束に添えると、店のドアを開ける。
  
 ドアの開く音に、カウンターに仲良く並んでいたいづみと恵子が同時に振り向く。
  
 花束を抱えて入ってきた佐織を見て、恵子も、そして今回やっと登場の健もちょっと驚いた顔になる。
  
 恵子「なにそれ? お礼だったら花じゃなくて現金にして貰えば良かったのにー」
 健「そうだよー、そうすれば店のツケも払って貰えたのによー」
 恵子「なによー」
 健「なんだよ」
 マリコからのお礼だと思い込み、不満をぶちまける恵子。

 しかし、今回はマリコから正式に依頼を受けているのだから、礼金についてはちゃんと取り決めてある筈だと思うんだけどね。

 佐織「違うんです、このお店に来たことあるカッコイイ人が、サキさんへって」
 急いで説明する佐織。

 しかし、「サキさん」って言うと、スケバン刑事のことを言ってるみたいである。
 まぁ、この名前は、正にスケバン刑事の麻宮サキから来てるんだろうけどね。
 健「この店でカッコイイっつったら、悪いけどお前、俺しかいねえぞお前」
 ベレーを触りながら、少し気取ったポーズを取る健。
  
 恵子「ぶっ」
 健「何がおかしいんだよ……」
 吹き出した後、意味もなく手をパンパン叩く恵子の仕草が可愛いと思うのである(好きなだけ思ってろ)。

 健、花束に添えてある封筒に気付き、開封してみると、
 中から、こんなカードが出てきた。

 しかしこの字は、どう見ても女性の字だなぁ(断言は出来ないけど)。
 石津、女性秘書あたりに頼んで書いて貰ったのだろうか?
  
 健「なんだよこれ、いづみにだぜ」
 健の言葉に、一瞬口を開きかけるが、結局無言のいづみ。
 佐織「あー、その人いづみ先輩のこと好きなんだ!」

 小学生のような反応だが、石津の本心を鋭く抉った台詞である。
 いづみ「だぁれ?」
 男性から花を贈られるなんて言う人生初体験に、いづみもパッと顔を輝かせる。
  
 佐織「ほら、お店にも来たこと、ある人ですよ」
 恵子「どんな人、どんな人?」
 佐織「カッコイイ人」

 佐織、何故か「いつもひとりでビリヤードしてる人」と言う、分かりやすいフレーズを使わない。
  
 佐織「そのうちまた来るでしょ」
 健「楽しみだな、その人に会うのが……ん、どうぞ」
 健、いづみの前に来ると、カードを改めて添えて、いづみに花束を差し出す。

 この健の、と言うか、湯江氏の、動作ひとつひとつがモテるコツなのではないかと管理人は睨んでいる。
  
 満面の笑みを浮かべて花束を受け取り、その香を吸い込むいづみを映しつつ、「つづく」。



アバン Aパート Bパート 予告

 11話の予告は、ストーリーが最終局面に入る導入部であるせいか、いつもの掛け合いではない。

  
 石津の同僚「理屈は結構だ!」
 これは、本編にもある台詞だが、その時の顔は、右側の画像である。
  
 石津の同僚「このままでは上も黙っておらんだろう!」
 これも、本編にある台詞だが、本編では、右の画像の右側のキャラが喋っている。
  
 石津「結論は私が出す!」
 本編では、石津はサングラスをかけたまま。また、「私」ではなく、「俺」となっている。
 佐織の声「いづみ先輩! だめぇー、行っちゃだめーっ、あの人は私に嘘の証言をさせた人なんですぅ!」
  
 いづみの声「あなたは……」

 認識票を投げる、本編にもあるシーンだが、
  
 本編↑では、いづみの立っている場所や、石津の服装などが異なる。
 いづみの声「あなたが私の本当の敵!」

 本編には、このアングルの映像はない。実際のシーンでは、二人の距離はもっと離れている。

 と、本編とはだいぶ違うが、ハイライトシーンを集めて、佐織やいづみの台詞を重ねたものになっている。

 さて、この10話、単発エピソードとしては最後だが、たくさん見せ場があり、かなりの面白さであった。