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第5話

あぶない2人、反撃 NEXT 目次へ
監督 大井利夫 脚本 我妻正義
アバン Aパート Bパート 予告

 初の前後編と言うことで、冒頭は前回のハイライトシーンを映しつつ、これも初めてナレーションがあらすじを語る。

 ナレ「五条いづみ、謎の組織に拉致され、3年間に渡る特殊な訓練を受けた彼女は辛くも脱走に成功した。しかし謎の組織の正体を暴く為に、いづみは再び脱走してきた基地への潜入を開始した。いづみの過去を知ろうとする恵子も後を追う」
  
 前回のラストに二人が飛び込んだ滝壺から、その下流へカメラが動き、水面を漂い流れる二人の姿を映す。
 ナレ「いづみと恵子、二人の危険な旅が今始まる……」

 とっくに始まってると思いますが……。

 なお、ナレーションは俳優の睦五朗さん。氏は6話以降も、冒頭のナレーションを担当することになる。
 テレビドラマ「逃亡者」の吹き替えで有名な氏の起用は、いづみの境遇に重ね合わせたのかとつい深読みしてしまうが、別に深い意味はないのだろう。氏は「スケバン刑事2」でも重要な役を演じられているので、その関係かもしれない。
  
 いづみに支えられるようにして仰向けに浮いている恵子。
 ただし、いづみの足が届くくらいの浅い場所で撮影しているようだ。

 恵子「生きてる……生きてる……生きてるーっ!」
 意識を取り戻し、自分が助かったことを知り、思わず叫ぶ恵子。ただ、アフレコと口の動きが全然合ってない。
 いづみ「とりあえずはね」
  
 二人の映像に重なる石津のどアップ。いつもの自社ビルから、港を見下ろしている。
 と言うことはやはり、いづみが上陸した島(?)とは離れたこの場所から指示を与えているのだろう。
 石津「バイオフィードバックがいかなる時発揮されるのか? そしていづみは自分の力でその能力をコントロールできるのか? ふっ、ふーっ、吉岡」
  
 石津の言葉に、吉岡と言う部下がフレームインする。
 石津「いづみを極限の状況まで追い込み、その能力を測定しろ」
 吉岡「はっ」
 吉岡を演じる加藤照男氏は、2話でいづみを尾行していたコートの男である。ただし、同じキャラクターなのかは不明。なお、この「はっ」と言う一言だけの台詞だが、何故か別の俳優(藤田昇)があてている。同様に、後に出てくる神谷俊次役の神谷政治氏の台詞も、別の俳優が吹き替えている。

 ここでオープニング。



アバン Aパート Bパート 予告

 川から上がったいづみと恵子、上手い具合に山小屋を見付け、その中で休んでいた。
 二人とも濡れた服を脱いで、ヌードに毛布一枚と言うちょっとしたサービスカット。
 いづみはバッグからパウチのような物を取り出して、恵子に差し出す。
 いづみ「はい」
 恵子「何これ?」
 いづみ「クッキー」
 恵子「ふぅーん」
 続けていづみが色んなものを取り出すのを見て、
 恵子「ドラえもんのポケットみたい」
 可愛らしい感想を述べる。
 いづみ、携帯コンロの固形燃料(?)にライターで火をつける。
  
 恵子「あんたが初めて」
 恵子の声に、顔を上げるいづみ。
  
 恵子「あたしのヌード見たの」
 そう言って、毛布を掻き合わせる恵子。
 いづみも笑顔を見せ、「あたしのも見たくせに!」と応じる。
  
 いづみが毛布で足を隠すと、恵子も同様に隠し、互いを見詰め合う。
 いづみは携帯コンロで小さなポットの湯を沸かし、容器に入った黒い粉(コーヒー?)のようなものを入れる。
 恵子「これからどっちへ行くの?」
 いづみ「北! それがあたしの目的地。あったまったら帰るのね」
 恵子「こんなとこであたしを放り出していくって言うの?」
 いづみ「川に沿っていけば、街へ出られるわ」

 このいづみの台詞、この場所についての推測を混乱させてくれる困った一言。ここは島だとしても、無人島ではなく、組織とは無関係の一般の市民も暮らしているらしい。ただ、いづみの言い方からすると、そのまま陸続きにベイエリアに帰れそうにも聞こえて、一体、島なのか内陸なのか、ひたすら訳が分からなくなる。 
 これまでの二人の動きを4話に出て来た地図で推測すると、こんな感じだろうか。
 A地点を越え、B地点付近で最初の戦い。それから別の敵に追われて川に落ち、下流に流された。
 で、今から、北、すなわちC地点へ向かおうとしている……。
 恐らくC地点の山を越えて、最終的には施設のあったD地点を目指しているのだろう。
 (追記・実際はDではなく、Eが目的地だった。Eが地図上の何処なのかは不明)
 そして、いづみの言う街は、河口付近にあるのだろうか?

 とにかく、ここでサブタイトルが表示されると同時に、挿入歌のひとつ、A-JARIの「眠らない街」がスタート。「望みをなくした寂しい天使〜♪」と言う歌いだし。
 ここで、連なる山々を一望した映像にスイッチ。
 どう見ても、島じゃないよなぁ……。
  
 山上に仁王立ちしている兵士の皆さん。走ってきた部下の報告を受け、視線を向けると、尾根の上をひとりで歩くいづみの姿があった。
  
 馬鹿でかい双眼鏡で覗き、いづみだと確認する。
 彼はこの部隊の隊長で高山(草味潤平)と言う。
 高山「ポイントC地区でプロトタイプ1号の生存を確認。バイオフィードバックの兆候はいまだ見られません。引き続きオペレーション続行!」
 トランシーバーで(石津に)報告してから、手振りで部下に攻撃を命じる。
 しかし、外見だけではバイオフィードバックを発動しているかどうかは分からないと思うけど。
  
 険しい表情で歩いていたいづみを、案の定、恵子の姿が追いかけてくる。
 恵子「いづみ、待ってよ! ひとりで出て行っちゃってさあ」
 ところで、まだ、上陸一日目なのだろうか? いくら早朝に出発したとしても、あれだけ山の中を歩き回り、敵と戦い、川で運ばれ、さらに衣服を乾かしたあとで、こんなに日が高いと言うのはちょっと不自然な気がする。
 ただ、この後に夜のシーンが出てくるから、やはりまだ一日目なのだろう。
 いづみ「なんでついてきたのよー」
 恵子「足が動いちゃっただけ!」
  
 同じ場所に留まる高山の双眼鏡の視野に、言い争いながら緩い斜面を下っている二人の姿。ほどなく、彼の部下が二人の周りを取り囲んで攻撃を仕掛ける。
 棒状の武器を振り回す兵士たちを寄せ付けないいづみ。
  
 恵子はさすがに正面切って戦うことはせず、攻撃をかわし、追いすがる手を振り払う。
 恵子「いづみぃ!」
 サバイバル・ソーのリング部分で敵を吹っ飛ばすいづみ。
 アップでは、ほとんどのアクションは女優本人が演じているが、
 木立を抜け、急な斜面を敵と戦いながら駆け下りるシーンとなると、どちらもスタントに変わる(と思う)。
 恵子の声「どうしてこんな目に遭うのよ?」
 いづみの声「だから帰れって言ったでしょう?」
  
 ここで、前回港に取り残された筈の佐織と健がペアで登場。
 佐織「いづみさんたちがこの山入ったってことまでは分かったってのに……」
 健「はぁ、はぁ、ふーっ」
 同じような斜面をひいひい言いながら登っている。しかも、佐織が前を歩き、ビリヤードのキューケースにつかまって、健が引っ張られている。

 健「疲れたぁー」
 佐織「どうしてるかなぁ、いづみさんたち」
 健「さあね、恵子の奴、いづみのことになると自分見失っちゃうからなぁ」
 しばし立ち止まって話す二人。

 さて、この場所に二人が辿り着いたと言うのも、レビュアーにとってはかなり悩ましい展開である。二人は前回、いづみが船に便乗して何処かへ向かったことは知っている。しかし、その行き先については全く情報はなかった筈である。だとすれば、いづみたちを運んだ船が帰るのを待ち、同じ場所まで連れて行ってくれるよう頼むしかない。

 だが、運賃を貰って往復するのならともかく、もう一度タダでそんなところまで彼らを運んでくれるほど暇でお人好しの船主がいるとも思えない。第一、その船は別の場所へ向かうついでにいづみたちを便乗させてやったと見るのが妥当だから、佐織たちがこんなに早く追い付けるほど、すぐに帰港するとも考えにくい。

 それと、佐織の「この山入ったことまでは分かった」と言う台詞も、悩みの種。一体どうやってそれを知ったのだろう? 目印もないこんな山で、いづみたちの痕跡を発見するのは不可能に近いし、少なくとも劇中ではいづみたちは住民とは誰とも接触していないのだから、後から来た佐織たちにそれを教えられる人間が果たしているだろうか? 最初にいづみたちが倒した兵士たちがそんなことを佐織に話す訳もない。
 さて、閑話休題。
 佐織は健の言葉を受けて、いきなりケースを投げるように手放す。
 当然、それにぶらさがっていた健は「おっおいっ……いてっ」と、派手に転がり落ちる。

 佐織、当初は完全なブリッ子と言う感じのキャラだが、あくまでそれは同性に対してで、男、特に健に対しては妙にサディスティックな振る舞いが目立つ。中盤以降は、ブリッ子キャラ自体が影を潜め、しっかり者の元気娘と言う感じに変化する。
  
 佐織は振り向いてうつ伏せに倒れている健に近付き、
 佐織「恵子さんだけですかぁ?」
 健「あ〜?」
 佐織「いづみさんのことになると自分を見失ってしまう人!」
 健は寝そべったまま、
 健「ああ、デカの藤原のことか?」
 佐織は上半身を前に倒して、
 佐織「違うよーっ!」
 健「ああ?」
  
 佐織は無言で健を指差す。ちなみに彼女が持っているのは滅多に使われることのないバードコールである。
 健はその場に座り、
 健「もしかしたら、俺たちあいつに触れちゃいけないのかもしれないなぁ」
 佐織「えっ?」
 健「いづみさ、……俺、こええなぁ、あいつに近付けや近付くほど恐ろしいことに巻き込まれそうな気がするよ」

 しかし、佐織は健を称して「いづみのことになると自分を見失う人」と断言しているが、少なくとも今までのエピソードで、そんなシーンはひとつもなかったんだけどね。健はここに来るのも消極的だったし、この場合、佐織自身こそがそれに該当している。
 佐織、再び前屈みになってしかめっ面を作る。
 佐織「あっそうですか、そう思うならついて来なくってもいいですよーっ、臆病ねえ」
 健を置いてさっさと歩き出す佐織。健も慌てて起き上がって後を追う。
 健「おいちょっと待てよっ! おいっお前いづみのことになるとほんと真剣になんなぁ、もうちょっと優しくしてくれよ」
 佐織「やだよー」
 ところで、この割と長い会話シーンの間、ずーっと「眠れない街」のボーカルが鳴り響いているのだが、邪魔である。
 佐織と健の登場と同時に止めるか、別のBGMにすべきだったのではないかと思うが、こればっかりは実際に選曲してみないと分からない。

 二人の後ろ姿がフェードアウトし、
 いづみの張ったテントの映像に切り替わる。
 ここで漸く夜になる。ただし、実際に夜間に撮影しているのではなく、フィルターをかけて夜にしているだけだと思うが……。
  
 非常用のケミカルライトを折り、テントに吊るすいづみ。
 恵子、それを指で突付いて「わぁ、きれい」と弾んだ声を上げる。
 真面目な顔になり、「いづみ、あなたこんな風にいつも生きてきたの?」
  
 恵子「来る日も来る日もこんな恐ろしい目に遭って……」
 いづみ「……」
 恵子「ついて行けそうにないな、あたしには」
 いづみ「見張りに立つから寝て。目が覚めたら帰るのね」
 いづみ、さっきと同じような状況で同じようなことを言う。

 しかし、構成的にはここでいづみに過去のことや神谷俊次のことを話させた方が良かったんじゃないかと思う。ここでいづみに喋らせなかった為、更にもう一度、似たようなシーンを出す必要が生じている。
 それに、夜、こんな山奥で恵子をひとりで帰らせると言うのは、いづみと一緒にいる以上に危険ではないだろうか?
 いづみはテントの外へ出て、言葉どおり、近くの木にもたれて周囲を監視する。
  
 少しでも眠ったのか、それともすぐに出てきたのか、時間経過がはっきりしないのだが、恵子はテントの外へ立つ。その気配に気付いている筈のいづみは、背を向けたまま反応しない。
 恵子「さよなら……」
 ぽつりとつぶやいて、そのまま画面左手に去って行く。
 去って行くのは良いけど、ライトも地図も持たず、どうやって帰るつもりだったのだろう?
 いづみ(さようなら……)
 いづみは、心の中で別れの言葉をつぶやく。
 ここで一転して、コミカルなシーン。
 バーガー・イン・サキのカウンターに、アイ、マーコ、祥子が後ろ向きに座り、カウンターには藤原の姿が。
 藤原「隠すんじゃねえ。あいつら一体何処行ったんだ?」
 アイ「だぁってぇ〜」
 マーコ「ほんとぉにぃ」
 祥子「知らないんだもーん」
 藤原「チッ、親分庇うのも良いけどなぁ……」

 しかし、従業員が二人ともいないのに、なんで店は開いているのだろう? 健が三人に店番を頼んだのだろうか?
  
 藤原、レードル(スプーン?)でアイの頭をポンと叩き、
 藤原「おいコラ、お前この間有明高校の生徒後ろから殴ってソフトクリーム取り上げたろ?」
 少年課の藤原の指摘に顔をしかめるアイ。
  
 ついで、マーコの頭も同じように叩く。
 藤原「コラッ」
 マーコ「あいたっ、いってえー」
 藤原「バスケットの対校試合の優勝高に500円賭けたろう?」
  
 最後は祥子。
 藤原「こらぁ」
 祥子「痛いっ……」
 藤原「コンサートの券買ってきてやるって、金集めてトンズラこいたろう〜?」
 藤原、それぞれの頭にレードルを向けながら、「傷害罪、賭博罪、アンドぉ、詐欺罪!」と、ひとりひとりの罪名を読み上げる。
 三人「ひょえーっ!」

 三人揃って可愛らしく叫ぶ祥子たち。
 ストーリー上は全く不要なのだが、物語が単調になるのを防いでいるし、本来は出番のない祥子たちに見せ場を作ってやる優しさが嬉しい、好きなシーンである。

 さて、ひとりになったいづみ、テントの中で横になっていたが、何者かが近付く気配、足音に気付き、
  
 毛布を持って外へ飛び出ると、それを不審者に多い被せて馬乗りになる。
 更にサバイバル・ソーで殴り付けようとするが、
 恵子「キャーッ! ちょっと待ってよ、あたしあたし!」
 と、恵子の慌てた声がしたため、動きを止める。
  
 恵子「訳なんて訊かないでよ。とにかく付き合うわ、最後までね」
 いづみ、呆れたようにソッポを向くが、その顔にはなんとなく嬉しそうな色も混じっていた。
  
 再びテントに戻った二人。
 恵子「話して、何もかも」
 恵子に促され、やっといづみが語り始める。
 しかし、前述したように、ここで話すのなら、やっぱり「恵子去る」→「また戻る」と言う繰り返しは要らなかっただろう。

 いづみは、首に掛ける鎖のついた小さな金属プレートを取り出し、恵子に手渡す。
 いづみ「それは、神谷俊次の認識票」
 自分の胸に下げている同様のプレートを見せ、「これがあたしの認識票」
  
 ここから回想シーン。
 刑務所のような独房に膝を抱いて座っているいづみ、監視窓から男が順に部屋を覗いて行く。 
 この監視役は、吉岡役の加藤照男さんかと思うが、違うかもしれない。
 いづみの声「隣り合わせの独房で、言葉を交わすことも許されず、お互いに顔も知らなかったけど、全国から選び抜かれた何人かの一人だと後で知ったわ。バイオフィードバックの実験のために」
 恵子「バイオフィードバック?」
 いづみ(頷いて)「人が普段使う知力、筋力を1とすれば、それを遙かに超えた、10倍20倍の能力を引き出してしまう。それがバイオフィードバック」
  
 恵子「いづみがそうだって言うの?」
 関係者以外で、「バイオフィードバック」と言う言葉を初めて耳にする恵子。
 いづみ(首を横に振って)「いつもってわけじゃないわ。フィードバックした時だけ」
 いづみの説明に、「あー」と言う顔で頷く恵子だが、ほんとに意味分かってるんだろうか?

 ちなみに、いづみは知力も増幅すると言っているが、遺憾ながら劇中では確認できない。

 いづみ「私の脳に、直接何かの作用を与えたってこと」
 恵子「そんな……」
 いづみ「そのバイオフィードバック実験場、そこに入って生きて出られた者はいない」
 恵子「何故? 何の為にそんなことを?」
 いづみ「超兵士を作り出す為、目的は分からない」
 恵子「えっ?」

 そしてここで問題の台詞。
 いづみ「半年前のある朝、神谷俊次が実験場に連れて行かれる日が来た」

 いづみが3年間、実験施設にいたことはほぼ確定している。
 いづみが脱走してからこれまでの日数は考慮しないとして、いづみの「半年前」と言う台詞がどうしても引っ掛かるのだ。いづみは3年前に実験施設へ連れて来られた。そして2年と半年後、いづみの隣室の神谷が実験場へ連れて行かれた……。後述の二人のやりとりや、いづみの台詞から見て、明らかにいづみより先に神谷がバイオフィードバックの実験をされた筈である。と言うことは、いづみは誘拐されてから2年半の間、一体を何をしていたのだ?

 まさか、ずーっとその独房に閉じ込められていたのではあるまい。恐らく、2話の冒頭に出てきたような基礎的な軍事トレーニングを施されてきたのだろう。いくら能力がアップすると言っても、元の力がなければ意味がない。だから、兵士としてある程度の能力を身に付けさせた上でバイオフィードバックの実験体にしていたのだろう。
 ただ、もしそうだとしても、3年間の間のほとんどを基礎訓練に費やしてきたことになってしまい、どうも釈然としない。
 いづみの台詞が「拉致から半年後」なら、だいぶ分かりやすくなるのだが。

 話を戻して……、
 壁に背中をつけて体育座りをしているいづみ。
  
 と、隣との壁をドンドンと叩く音がして、上部の格子窓から認識票が放り込まれる。

 あの、なんでそんな窓が開けてあるの?
 隣室とコミニュケーション取れまくれるじゃないか。
 神谷「僕がもし生きてあそこから戻れなかったら、それを僕が生きてた証にしてくれ。僕の名は神谷俊次……あきらめんなよ、どんなことをしても生き延びるんだ」

 隣の部屋で、神谷の後ろ姿だけが見える。神谷を演じる神谷政浩氏は、子役時代から活躍している俳優。「スケバン刑事」の2や3にもゲスト出演している。ただ、声は、和沢昌治と言う人があてている。

 しかし、神谷は、初めて連れて行かれると言うのに「あそこ」と言うように、実験場のことを知っているかのような言い方をするのだろう? いづみの例を見ても、彼らは実験場に連れて行かれて初めてその実態を知るようなのだが。
  
 いづみ、認識票を持って、格子窓を見上げる。
 いづみ「あなたも……」
 神谷「ああ」
 いづみ「あたしの名前は五条いづみ」
 神谷「いづみ……いつか会おう!」
 ここで、隣の部屋のドアが開く音がして、看守の「出ろ」と言う声。ドアが閉まり、足音が廊下を進んで行く。
  
 壁に手を付いて、祈るように「いつか……」とつぶやく。
 カメラがパンして、現在のいづみの姿を映す。

 いづみ「神谷俊次は、戻ってこなかった」
 しかし、大事な認識票がなかったら、俊次君、こっぴどく係の人に怒られたんじゃないだろうか?
 この神谷俊次、普通考えたら、中盤以降、いづみの前に再び生きて現れるのがセオリーだろうが、実際にはほんとにこれっきり出てこない。当初の予定では、12話の飛葉のようにバイオフィードバック戦士としていづみの前に立ちはだかると言う展開だったのではないか? だが、1クールで打ち切られたため、結局そのアイデアが日の目を見ることはなかった……あくまで、筆者の推測だが。

 恵子「いづみも入ったのね、そこへ」
 いづみ「あれは思い出すだけで今も体が震えだす、恐ろしい実験だった」

 ここでやっと、バイオフィードバック実験の実際の様子が映し出される。
 心臓の鼓動の音がBGMとして使われている。
  
 まず、ベッドに寝かされ、電極をあちこちに付けられているいづみ。ベッドの脇にはパソコンを前にした白衣の男達の姿。
 ついで、ルームランナー。
 それから、腹部のエコー検査のような画像。
  
 いづみの写真と、既存の人体解剖図を組み合わせた画像。
  
 続いて、筋トレ。
 ……思い出すだけで、体が震えるの?
  
 今度は、腕、足の図解。
 最初は内臓系のチェック、次は足や腕の能力チェックだろう。
 今度は体幹。
 この、いづみの横向きの画像、6話以降もオープニングで毎回出てくるのだが、姿勢が悪くて、いちいち気になってしまう。
  
 再び、筋トレ。
 脳波を記録しているような機械。
  
 2話の冒頭にも出てきた実戦訓練の様子。
 爆破ショットもある。
 しかし、これもバイオフィードバック実験の一環だとしたら、さっきの「2年半の間、何をしていたのか」と言う疑問にまた戻ってしまう。筋トレなどもやってるしなぁ……。

 2話の同じシーンをチェックしたが、上の格闘シーンは全く同じで、下の爆破シーンはテイクが違うような気もする。
 再び現実時間。
 いづみ「何故あたしだけが生き残ったのか分からない。神谷俊次が戻らなかったその日から、私は誰にも知られず、このサバイバルスを作ったわ。あそこを抜け出し、生き延びる為に」
 サバイバル・ソーを見詰めながら語るいづみ。ただ、「サバイバル・ソー」の部分は、「サバイバルス」としか聞こえず、自分も最初はそう言う名称なのかと思っていた。
  
 小さく頷きながらその話に耳を傾けている恵子。いづみはサバイバル・ソーを仕舞ってから、
 いづみ「あの人、どんな顔してたか、知ってる?」
 と、珍しく女の子らしい質問をする。心なしか、顔も若干柔和になっている。 
 恵子「女の子なら、誰でも憧れるって噂だった」
 それに対する恵子の答えは、しかしかなり曖昧である。この台詞からすると、恵子自身は彼と面識がなかったようだ。 
 参考までに、この約2年前の「スケバン刑事2」における神谷政浩氏。
 恵子「17才なのに……」
 神谷の認識票を握り締めてつぶやく。

 この台詞も、ちょっと検証が必要だ。無論これは神谷が死んだと思われる年齢だろう。半年前のことだから、恵子とは同学年らしい。神谷が拉致された時期がはっきりしないのだが、いづみより先に実験をされていることから、いづみより前、あるいは同時期だと仮定すると、拉致されたのが14才以下と言うことになる。
 これは、4話で闇学中の幹部の証言とも符合する。ただ、そうなると14才で100メートルを10秒ジャストで走っていたことになり、さすがにこれはいくらなんでも速過ぎないか?

 また、いづみと同時期に拉致されたとすれば、初めて口を利く2年半前から、二人は格子窓でつながった独房で隣り合わせだったことになる。その間、全くコンタクトを取ろうとしなかったと言うのも、不自然であろう。

 ただ、この実験施設内での時間経過や、いづみの年齢に関する矛盾はどうやっても解消しないので、推定を重ねても無駄と言う気もする。

 とにかく、やっといづみが自分の過去を打ち明けてくれたので、二人の仲もぐっと近付いたところだが、
  
 夜明け頃、テントを見下ろす丘に、高山とその部下たちが立っていた。
 機銃を構える兵士の他に、テレビカメラでテントを映している兵士もいる。
  
 石津はあくまでいづみを追い込み、バイオフィードバックの発動を促してその様子を撮影するのが目的だったと思うが、ここではいきなり機銃をテントに向かって撃ちまくっている。

 二人は既にそこを離れていたから無事だったが、もし中にいたらバイオフィードバックもへったくれもないままにいづみを殺してしまい、石津から大目玉を喰らっていたのではないだろうか?
 穴だらけになったテントがぺしゃっと崩れるのを見て、
 高山「さすがだな。Cゾーンオペレーション終了、Eゾーンに入る」
 ここで、Dゾーン(地点)の他に、Eゾーンなる場所が存在することが明らかになる。地図には載っていないが、C地点よりさらに北にあり、そこに例の施設があったのだろう。
 再び東京の石津。
 石津「いづみにバイオフィードバックを使わせろ。あの力を初めて使った時と、同じ状況を作るんだ」
 より細かい指示を電話で与えた後、
 石津(あの日、いづみは初めてバイオフィードバックを使い、そのまま脱走した……見せてくれいづみ、お前の本当の力を)

 うーん、と言うことは、実験の過程では、いづみはバイオフィードバック状態にはならなかったのか?
 一度も発動していないのに、1話ではいづみの脱走直後に、「唯一の成功例」であり、「洗脳する直前」だったと幹部たちが話しているんだけどね。あるいは、実戦で初めて使ったと言う意味だろうか? 
  
 さて、いづみと恵子は遂に目的の場所、実験施設のあるEゾーンへ足を踏み入れた。
 恵子「あそこが……?」
  
 いづみが頷くと共に、また回想シーンへ。今度は、3年前、埠頭で警官隊に抵抗し、直立姿勢で海に落ちるシーン。
 1話ではそれまでだったが、ここではその後、いづみがどうなったか具体的に描かれる。
 水中に没したいづみに、すぐに二人のダイバーが近付いて、いづみの口にレギュレーター(?)を含ませる。

 ダイバーは左右からいづみの体を支えて、何処かへ連れて行く。
 しかし、いづみがこの時海に落ちるなんてこと、予知できる筈がないのだが、予めダイバーを潜らせておくとは準備が良いことだ。
  
 ここでまた、バイオフィードバック実験の様子が映る。
 だが、今度はパソコンの前に座っていた白衣の男性の顔がはっきり見える。
 彼は板倉といい、石津との会議のシーンにも列席していた幹部らしい。演じるのは牧村泉三郎さん。

 板倉「五条いづみは死んだ。これから君はあらゆる訓練を受け、やがてバイオフィードバックを体験する。そして我々の計画第1号として生まれ変わる」
 ここで、また、いづみの体の各パーツが解剖図と共に表示される。

 板倉「たとえここを逃れ、街に戻ったとしても、君は殺人者として追われるだけだ。君の帰る場所は、もう何処にもない」
 その言葉に、ぎゅっと拳を握るいづみ。怒りか、悔しさか。
 この流れだと、いづみは拉致された直後にこういう目に遭ったらしいのだが、これはあくまで最初の身体検査のようなものだろう。ただ、既出の、バイオフィードバック実験場についていづみが語る際にも出てくるので、混乱してしまうのだ。
 それに、拉致から2年半は、「あらゆる訓練」を受け、それからやっと「バイオフィードバックを体験」した筈なのだが、
 続いて表示されるこの画面には、拉致された翌日に「プロトタイプ1号として始動」と明記されている。
 他にもたくさん候補者はいたと思うが、何故かいづみはこの段階で既に1号に決まっている。

 まあ、責任者の石津自身がその拉致に関与していることから、いづみが最も期待されていた素材だったのかもしれない。
 なお、ここでいづみの正確な生年月日が出る。1969年11月16日。

 ちなみに五十嵐いづみさんは1968年の11月16日で、五条いづみよりちょうど1才年上だ。

 そして物語が始まるのが、第1話が放送された1987年の11月5日とすると……、

 いづみは1984年の11月5日に14才(中3)で拉致され、
 3年後の1987年の11月5日に17才(高3)で脱出したことになる。

 そしてすぐ誕生日を迎え、現在18才である。
 この数字自体に矛盾はないのだが、ひとつ問題がある。
 この場合、いづみは高校生になる前、中3の時に拉致誘拐されている。と言うことは、いづみは一度も高校へ通うことなく行方不明になったことになり、2話での藤原の「もう一度高校へ戻りたいか」と言う台詞や、いづみが高2に編入されたことなどと明らかに矛盾してしまう。

 これを解消するには、いづみが拉致された年を1982年、つまり高1の15才に変え、実験施設にいた期間を3年ではなく2年に変更するのが手っ取り早い。
 それでも、いづみは18才なのに17才の恵子と同じ高2になってしまうのだが、まあ、これは留年したと思えば良い。
 つまり拉致される前に高1の課程は修了していたので、復帰後は、高2に編入されたのだと……。

 うーん、やっぱり全部綺麗に説明するのは不可能だな。
 いづみ「3年間の地獄が、あそこにあった」
 いづみ「持って」
 いづみはバッグを恵子に持たせ、小さな双眼鏡を取り出す。
 恵子「重ぉい……」
  
 いづみは双眼鏡で施設の外観をざっと見るが、すぐに驚きの声を上げる。
 いづみ「そんな! 鉄線も、人も何もないわ!」
 恵子「いづみぃ……」
 ところで、この施設は、1話に出てくる施設とは違う場所で撮影していると思うが……昼と夜なので、よく分からない。

 いづみは双眼鏡をしまい、自分でバッグを持って施設へ向かって歩き出す。
  
 建物に近付くと、いかにも長い間使われていない、廃墟のような感じだった。
 しかし、いづみが脱走してそれほど日数は経ってないと思うので、いくら放棄されたとは言え、こんなすぐ錆が浮いたりするだろうか?
  
 憮然とした表情で周囲を見回しているいづみのそばに恵子が立つ。
 ここで、いづみ、1話の冒頭でバズーカを踏み台にしてフェンスを越えるシーンを回想する。
 いづみは無言で歩き出す。
 恵子「いづみっ!」

 ここでCMです。



アバン Aパート Bパート 予告

 CM明けました。
  
 既に建物の中に入っているいづみ。敷地内に、更にさらに独立した建物があって、いづみはその外階段を登って行く。階段を登ると、ちょっとした空間。赤く塗られたフェンスを開いて、いづみは奥へ進む。
  
 通路の突き当たりに、鉄格子の扉が開いた状態でついている。
 ここは、無論、上の場所とは全然違うセットで撮っているのだろう。
  
 鉄格子の先には再び通路があり、独房のドアが見える範囲で三つ並んでいる。入り口から2番目のドアは爆発でも起きたように、ドアが周囲の壁ごと通路へ向かって倒れていた。
  
 その壊れた独房こそ、いづみが入れられていた部屋なのだが、そこはいづみが脱出した時のまま、放置された状態だった。
 いづみは自分のいた部屋の前に進み、恵子もゆっくりと後からついてくる。
 分厚い壁のごつごつした断面を触りながら、ここにいた時のことを思い出すいづみ。と言っても、せいぜい1ヶ月くらい前のことなのだが。この破壊された部屋のセット、なかなかリアルで良く出来ている。
  
 ここでまた回想シーン。いつものように壁に背中をつけて膝を抱えているいづみ。
 顔を上げて、軽く息をつく。バイオフィードバック実験を受けた後なのか、やや憔悴した様子。
  
 それから扉の方、画面向かって右側へ顔を向ける。
 いづみの視線を追ってカメラがパンし、部屋の隅の暗闇を利用して、シームレスに現在のいづみのところへつなぐのがちょっとシャレた演出。
 いづみ「どんなことをしても、あいつらの正体を暴いてやる。必ず!」
 宙をにらまえ、決意するいづみ。

 改めて見ると、つくづく男前の眉毛だなぁ。
  
 数歩下がったところから、そんないづみの姿を見詰めている恵子。
 と、背後から手が伸びてきて(それを予期して早い段階から目をつぶっちゃってるけど)、
 恵子の口を押さえる。
 「うっ」と、声にならない悲鳴を漏らす恵子。
  
 恵子はそのまま通路の外へ連れて行かれ、別の兵士がすぐに鉄格子を閉める。
 いづみ、敵(高山)の接近を察知するどころか、恵子が連れ出された後でやっと異変に気付いている。いづみにしてはヘマだが、過去のことや、これからのことについて色々と思いを馳せていたせいだろう。
 慌てて鉄格子に飛び付くいづみ。
 恵子はそのまま高山に口を塞がれて身動きを封じられる。高山の手には銃が握られている。
 高山「お前の能力を使え、いづみ、お前はあの日、その独房のドアを破壊して脱走した。もう一度やるんだ! さもなければ」
 恵子役の土田さん、実際に口を塞がれているので、鼻の穴を動かして一生懸命息をしている。少し涙目になっているのも、自然な感じがしてグー。
 ジャキッ!
 高山「この娘の命はない……」
 恵子の後頭部に銃口を突きつける。
  
 こんな時でもいづみは冷静で、目線を上げ、天井の角の監視カメラが自分を見ていることを確認する。
 これは、以前から実験体の監視の為に設置されていたものだろう。
 更に後ろを向き、そちらの天井にも同様のカメラが自分を見ていることを確かめてから、
 いづみ「あんたたちの目的は私の能力を知ること! そんなことの為に……」
  
 高山「我々の組織はお前が逆らえるようなちゃちな組織ではない。ふっ、お前の為に、この娘は死ぬだろう」
  
 高山「そしてお前は組織に戻るしかないことを知る。自分がただのプロトタイプにしか過ぎないことを思い知れいづみ!」
 いづみ「私はあんたたちを倒す!」
 叫び返すと、ポケットからサバイバル・ソーを取り出して握り締める。
 高山は再び銃口を恵子に向け、「武器を捨てろいづみ!」
 いづみ「恵子……!」
 さっきの画像では、高山の手が恵子の鼻も押さえる感じだったが、窒息しちゃうので、ここでは鼻の下に下がっている。
 恵子はここで、右手を出して、いづみに目配せをしてから、
  
 指で空中に文字を書いていく。

 ちゃんとテロップが表示されるので、視聴者には何を書いたか分かるのだが、多分、いづみにはさっぱり分からなかったんじゃないかと思う。それに、銃を突きつけられている極限状態で、悠長にこんな単語を、しかも相手から見て分かるように鏡文字で書くのは、はっきり言って至難の業だ。
 書き終えてから、最後に親指を立てて見せる。
  
 無論、ドラマなのでいづみはちゃんとその文字を読み取っていた。
 いづみ(SURVIVAL……生き延びる意志……)

 これは1話のラストでいづみが敵に向かって言った台詞であるが、恵子はいづみのダッフルバッグに書かれている文字を見ている筈なので、そこから来ているのだろう。

 恵子(生き延びて、いづみ)
 心の中で訴えてから、もう一度瞬いて見せる。
 つまり、自分に構わず戦ってくれと言うことなのだろうが、いづみからすれば恵子自身が「生き延びてみせる」と意思表示しているとも取れるので、ちょっと混乱するのではないだろうか。

 ここは、陳腐だが、それまでの過程で二人だけのサインを決めていて、それを利用してこのピンチを脱する、みたいな展開のほうが良かった気もする。恵子が宙に文字を書くところで、どうしても間延びしてしまうのだ。
  
 恵子の気持ちをどう受け止めたのかどうか、いづみは同様に親指を立ててサムズアップと言うハンドサインを示し、ついでそれを下に向ける。
 立てるのは「分かった」と言うことだろうから良いのだが、下に向けると「敗者を殺せ」みたいなネガティブな意味になるそうで、この動きはいまいち意図が不明だ。
  
 いづみ「恵子、決してあなたを殺させやしない!」

 ここで、石津の声が「バイオフィードバック、戦う意志がお前を最終兵器に変える!」と、いづみの脳内でスパークする。これは、今までの発動トリガーとはちょっと違い、いづみ自身の意志(恵子を必ず助ける)が引き金になったと思われる。

 なお、石津の決まり文句は3話までと微妙に異なり、「お前の肉体を」が単に「お前を」に省略されている。また、少し発音もおかしかったのだが、このバージョン2では、それも直されている。以降は当然、このバージョンが使われていくことになる。
  
 カメラがいづみの顔にクローズし、いつもの発動演出。
  
 いづみが目を見開くアップから、風を受けたように髪が乱れる。
 更に、何度もカメラがいづみの顔に迫る。
 3話までとほぼ同じなのだが、顔半分が交互に点滅する映像はカットされている。
 そして、グッと鉄格子を掴む。
  
 さすがに、バイオフィードバックを発動させたいづみのパワーは凄まじく、軽く揺さぶっただけで鉄格子を周囲の壁ごと押し倒してしまう。脱出時とほぼ同じことをして見せ、結果的には、高山の要求に応じてしまったことになるが。

 この辺りからいつものようにフィルムに特殊な処理(具体的にどうやっているのか分からない)が施された状態になる。
 同時に、「エスケイプ!」が流れ出す。
  
 手始めに数人の兵士を叩きのめすいづみ。
 高山は恵子を連れたまま通路から出て、部下も従う。通路側に残った二人の兵士が赤く塗られたフェンスを閉め、いづみの前に立ちはだかるが、
  
 いづみはフェンスに兵士を押し付け、その背中に強烈なパンチを食らわせ、
  
 外から押さえていた残りの兵士をフェンスごと吹き飛ばしてしまう。
 続いて、個別戦闘。
 足を高く蹴り上げるいづみ。
  
 また、手刀を突き上げ、
 それが途中で拳に変わって敵にヒットすると言う、「いづみ」では何度も見られるアクションが出てくる。アクション監督の好みだろうか?
 敵の攻撃を受け止め、
  
 体を入れ替えて、敵の膝裏(ふくらはぎ?)に後ろ蹴りを叩き込むと言う高度な殺陣も、五十嵐さん本人がこなしている。
 しかも、その後に後ろ回し蹴りを放つと言うスタント顔負けのアクション。ただし、実際に蹴るところまでは行かない。
 カットを変えて、いづみの後ろ回し蹴りが敵の顎に入り、吹っ飛ぶ。
 兵士「いやっしっ」
  
 あっという間に部下を倒された高山、恵子の首に銃を押し当て、
 「武器を捨てろ、いづみ、捨てるんだ!」と、命じる。
 指が引き金を引きそうになるのを見て、いづみはサバイバル・ソーのリングから左手を放す。リングはチェーンに引っ張られるようにして右手のリングへ引き寄せられるが、同時にいづみは右手もリングから放す。要するに、サバイバル・ソーをその場に落とした訳だ。
  
 そして素早く、空いた右手をズボンの後ろに回して、ホルスターにあったナイフを掴んで投げる。
 ナイフは正確に高山の右手首に刺さる。
 高山「うっ」
 いづみ「引き金を引けば、動脈が破れるわ。あなたが動いてもね!」

 いづみの言葉に、動けなくなる高山。しかし、指を動かしただけで破れるかどうかは実際にやってみないと分からないので、これはいづみのブラフだったかもしれない。
 いづみ「あなたの上に……私を作った誰かに伝えるのね、いつか私の力をその体で知ることになる……それがあたしの答え」
 サバイバル・ソーを拾い上げてから、 
  
 いづみ「行きましょう恵子、ここにはもう用はないわ」
 さっさと高山の横を通って帰ろうとするいづみ。
 恵子「いづみぃ〜」
 恵子はおそるおそる高山の体から離れ、いづみの後を追う。
 恵子「いづみ……」
 いづみはその言葉どおり、さっさとこの施設から退去してしまうのだが、他にも実験室とか、色々部屋はあるのだから、ついでに一通り調べた方がいいんじゃないの、と思うが……、既に手掛かりになりそうなものは全て撤去されていると見切りをつけたのだろう。
  
 ここで、佐織と健の様子が映し出される。結局、彼らはいづみと会うことすら出来なかったのだ。
 健「おい、もう歩けねえよ。一晩中歩きっぱなしだぞぉ。どこ行きゃいいんだ俺たちぃ」
 すっかりへばった健の台詞から、彼らも一夜をこの山で明かしたことが分かる。しかし、季節は初冬(撮影はもっと早いが)である。見たところ食料も何も持ってきていない彼らが、こんなところで野宿するのは結構無謀だったのではないだろうか。

 佐織「さー、何処でしょうねえ?」
 辺りを見渡して暢気に答える佐織。
 健「お前、元気だねえ」
 佐織「はいっ、若いですから〜」
 健の感心したような言葉に、その場で足踏みしてみせる佐織、……とても可愛い。

 健「おい、三枝!」
 佐織「はい?」
 健「結局追いかけちまうんだよな、俺たち、あのクールな面がたまんなくてよぉ」
 健はここでは佐織を苗字で呼んでいるが、多分、このシーンだけだろう。
 佐織、それを聞くとつかつかと相手に近寄り、右手をグーにして、コン!と、乾いた音がするくらいの勢いで健の頭を叩く。
 健「……いてっ、何すんだお前」
  
 佐織「だぁって、嬉しくて!」
 健「お前ってどういう性格ぅ?」
  
 佐織「こういう性格」
 佐織はここでくるっと体を反転させ、健の体に預けながら、
  
 佐織「ああー、お腹空いちゃった〜」
 健「あーっ、重いーっ」
 いつの間にかすっかり仲良しコンビになった二人。見ていてとても微笑ましいが、二人でこうやって活動するのはこの回だけなのがちょっと残念。
 それにわざわざロケに来たのに、2シーンだけの出番と言うのも勿体無い気がする。
 途中、兵士に見付かりそうになるとか、もうひとつくらいシーンがあっても良かったんじゃないかな。

 ちなみにこの時の後景、どう見ても内陸部なのだが、あくまでこれは撮影上の制約と言うことで、ドラマ上、ここはやっぱり島だと考えたい。……ま、どっちにしても矛盾は生じてしまうのだが。
  
 さて、本土でいづみの戦う様子をモニターで見ている石津。
 無論、監視カメラが捉えた映像である。
 コンピューターでその能力を分析させるが、結果は右の通り。

 しかし、バイオフィードバックを発動させ、戦闘能力を見ると言う目的はきっちり果たしたのだから、高山、最後はかっこ悪いことになったけど、誉められていいのではないだろうか。いづみを捕らえることは出来なかったにせよ。
 バイオフィードバックの様子をしっかり見ることが出来たが、石津は不満そう。そこへ電話が鳴り、側にいた吉岡が出る。
 吉岡「はい、あっ、からです」

 上層部からの電話なのだろうが、この「上からです」と言う台詞はいくらなんでもないだろう。この時点では、石津の上にいる人物や組織については白紙状態だったので、具体名を出せなかったと言うことかもしれないが、それにしても「あの方」とか「会長」などの曖昧な呼称を使うとか、あるいは「本部」「本社」とか、そう言う表現も出来た筈だ。

 ちなみに、この台詞は前半のように吹き替えではなく、加藤照男氏本人が言ってるみたいなんだけどね。ただ、2話の加藤氏の台詞も最初から吹き替えだったとすれば、別だけど。アフレコは一度にやるものだろうから、前半の台詞、それも「はっ」だけを別人が吹き替え、後半のこちらを本人が担当すると言うのも変な話だ。

 それはさておき、吉岡は電話を取り次ごうとするが、
 石津「第一の段階は終わった。第二、第三のいづみを生み出すためにも、次はこの街の中でどのように生き延びるかを見たい。しばらく私に任せて欲しいと伝えろ」
 と、吉岡に命令する。

 しかし、相手が目下の者ならともかく、上司に対して部下に返事をさせると言う石津の態度は、ちょっと情けない。
 この後、吉岡は「第一の段階は終わった〜(中略)〜任せて欲しいと言ってます」と電話口で答えたのだろうか?

 もっとも、それで上層部がすんなり引き下がったのだから、石津は組織の中でもかなり発言力があるのだろう。まあ、バイオフィードバックプロジェクトは、組織の壮大な計画の一部に過ぎないのだから、責任者の石津にはある程度の我儘が許されているのかもしれない。
 石津(やがて、嵐は来る。その為に我々は地上最強にして最後のコマンド手段を作らんとしている。いづみ、お前はその先頭に立つのだ)
 この中の「コマンド手段」と言うのも、よく分からない言葉だ。それとも、「コマンド師団」と言ってるのかな?
  
 次のシーンで早くもウォーターフロントへ戻ってきているいづみと恵子。ついでに、健たちも乗せてやればいいのに。
 ちなみにこの船は、行きの船とは違うものだ。
  
 非日常的な二日間を共に過ごし、一気に距離が縮まった感じの恵子といづみ。
 恵子「学校戻るしかないって、実はいづみのアパートも見付けてあるんだ。いつまでも倉庫って訳には行かないでしょ?」
 恵子の言葉に振り向くいづみだが、無言。
 恵子の台詞は、次回6話の冒頭に繋がる。
 運河沿いの道を歩いていた藤原、二人の姿を見付けて驚く。
 藤原「あっ」
  
 気分が高揚していたのか、珍しく恵子が「藤原さーん」と自分から手を振って呼びかける。
 まあ、生きるか死ぬかの経験をした後では、「相手にしたくないダニ」の藤原さえ、懐かしく感じられたのだろう。
 藤原「おーいっ、貴様ら、俺に黙って何処行ってやがったんだ?」
  
 恵子「ばいばーい」
 藤原「待てよ、おおっ、おーい、待て、このやろ!」
 走って追い掛ける藤原は、思わず橋の上から飛び降りそうな気色を見せる。
  
 恵子「おーい、ばいばーい」
 いづみは藤原の方を見ようともしない。
  
 ここで、石津も、川沿いのオープンカフェの客として顔を出す。
 さっきまでいたビルの近くだろうか?

 二人とも石津には気付かない。
 いづみは船に揺られながら内省的な表情。
 組織の正体を知る手掛かりは得られなかったが、代わりに恵子と心を通わせることが出来たことに満足感を覚えているようにも見える。
  
 思い出したように逆回転時計を取り出し、見詰める。
 いづみ(私の時は、まだ戻らない)
 時計をポケットにしまい、「つづく」のだった。
 ちなみにこの時計のカットは、1話の冒頭、港に降り立った時のバンク映像。よって、今回のエンディングでは「協力 オリエント時計株式会社」と言う表示がない。
 また、やっと「エスケープ」が「エスケイプ!」に修正されている。



アバン Aパート Bパート 予告

 今回の予告も、恵子と佐織の掛け合い。

 恵子「どう、あたしが見付けたいづみの部屋?」
 佐織「とっても素敵です! でも家賃が……」
 恵子「そんな時に舞い戻ったのがサソリのテツ」
 佐織「誰ですかその人」
 恵子「デカの藤原が昔逮捕した凄い奴さぁ」
 佐織「へー」
 恵子「そうだ、いづみのバイト考えた。事件解決業ってのはどうかなぁ」
 佐織「それピッタンコです」
 恵子「次回『少女コマンドいづみ』、絶対見ろよな!」
 佐織「はい!」

 予告の長さに比べて情報量が多いので、どちらもかなり早口で話している。

 映像的な違いはいくつかあり、

 まず、恵子がいづみをアパートへ連れてくるシーン。
  
 左が予告編で、右が本編。
 予告編ではカーテンが画面に入っている。

 ついで、むーちゃんこと婦人警官・武藤もえと、藤原とのやりとりで、くしゃみをしそうになった藤原の鼻をむーちゃんがつまむシーン。
  
 左が予告編で、右が本編。
 本編と比べると、予告編では鼻のつまみ方が浅い。

 そして最後のバトルシーン。
  
 左が予告編で、右が本編。
 本編では、ロープの先につながっている木のパネルが見える。カメラのアングルが微妙に違っているようだ。
 他にも細かい違いはあるが、わざわざ図示する必要はない。

 さてこの第5話、データ的には色々と矛盾も出てきて頭痛の種なのだが、いづみと恵子、健と佐織の友情が深まり、中盤への橋渡しとしては十分その役割を果たしていると思う。アクションは短いけれど相変わらず充実している。