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第1話

最終兵器、脱出 NEXT 目次へ
監督 大井利夫 脚本 我妻正義
アバン Aパート Bパート 予告

 まずは新番組の予告から。
 ナレーションもないシンプルなものだが、本編にはない映像が多い、貴重な素材となっている。
 埠頭の先端の灯台の下に立ついづみ。確認していないが、これは本編にはない映像だろう。
 いづみが、恵子やチンピラたちのいる店に入ってくるシーン、これも本編のシチュエーションとは異なる。
  
 ロケットランチャーを撃つ一連のシーンも見えるが、これも本編とは全く異なる。


 さて、本編の幕開けである。
 臨海部の開発が進む東京上空を飛ぶヘリには、石津(渡辺裕之)の姿があった。
 きらびやかな夜景を見下ろして、
 石津「美しい街だ、この街は……」

 序盤で石津が良く口にする「美しい街」、具体的にはいづみたちが生活する晴海周辺と思われるが、劇中では単に「ウォーターフロント」と称されることが多い。
  
 石津が暢気に夜景を眺めていた頃、いづみは既に施設から脱走を図っていた。

 いづみが劇中しばしば取り出して確認する逆回転時計のショットから、エレベーターシャフトの中のいづみの姿。

 この時計は、「テレビジョンドラマ」によれば、石津がいづみの未来を奪った印として、彼女にプレゼントしたものとされているが、わざわざそんなイヤミなプレゼントをする奴がいるだろうか? しかもそんなものを後生大事にいづみが持っているのも解せない。劇中では、いつ何処で手に入れたのか、特に示されていない。最後は川に捨てられてしまう不憫な時計である。

 いづみは上昇するカゴの乗っているようなのだが、この辺の描写はやや分かりにくい。いづみは、降りてくるカゴを見て「ハッ」と声を発し、シャフトの隙間に隠れてやり過ごす。
  
 その後、ワイヤーロープに飛び付き、自力でそれを登って行く。
 自重だけならまだしも、背中に重いダッフルバッグを背負っているのだから、恐るべき筋力である。部屋から脱出する際、「バイオフィードバック」が発動したことは分かっているが、それがそのまま継続していたのだろうか? 「バイオフィードバッグ」の持続時間については不明なので、有り得ないことではない。

 だが、この時、何故いづみがセーラー服を着ているのか、それは人類永遠の謎である。施設の中で、そんな制服を支給されることはまずないだろうし、3年前、彼女が拉致された時の私物は、財布からパンツに至るまで全て没収された筈である。当然、3年前のセーラー服が彼女の手元に残っているとも思えないが……。

 また、ここを脱出後、その制服は何故かまた消失している。
 ドラマとしては、やはりここは迷彩服ではなく、「セーラー服を着た美少女がロケットランチャーをぶっ放す」絵が欲しかったと言うことに尽きるだろう。
 滑り落ちそうになるが、何とか堪えて登り続ける。
 ちなみに額に巻いているのはハチマキではなく、制服のスカーフである。邪魔にならないよう髪をまとめているらしいが、これではあまり意味がないようにも思える。3話では、戦闘中、ポニーテールにしていたが。

 声「緊急事態発生、至急、Bポイントに着陸せよ」
 石津「了解」

 いづみ脱走の報は、早くも石津に連絡される。いづみが収容されていた施設は一帯何処にあるのか、この台詞も混乱させられるのだが、石津が晴海上空にいた場合、「Bポイント」とは言わず、「施設」あるいは「島」に戻るよう指示するだろう。だとすれば、晴海と目の鼻の先にあるのか? それにしては自然が多くて(4話〜5話)、とてもそうは見えない。離れた島にあるとすれば、石津は既にその近くまで移動していたのだろうか。

 サーチライトが施設内を照らす中、いづみは屋上に出てくる。
 グローブを外し、ダッフルバッグからナイフを取り出し、太腿のホルダーに差す。
 そしてスカーフをきちんと元通りに巻く。スナップ式なので、パチンと音が鳴る。
 ついで、銃器を取り出し、ロープを結んだモリを差し込んで、敷地を挟んだ向こう側にある樹木の幹に向かって撃つ。
 そしてロープをピンと張ってから、反対側についている金具を背後に投げて、ハシゴに絡ませて固定する。
 この辺の位置関係も、やや分かりにくい。わざわざ物音を立てているように見えるし。
  
 それはともかく、いづみは張ったロープに別の金具をはめて、それにぶら下がって空中を滑り降りて行く。
 高い位置からの滑空アクションは、スタントがやっているのではないかと思うが、
  
 いづみの体重を支えきれず、途中で下に落ちてしまうアクションは、五十嵐いづみ本人が演じている。
  
 いづみは、サーチライトや捜索の兵士たちの目をかいくぐり、武器庫の前でタバコを吸ってるバカを物陰に引きずり込んで気絶させ、鍵を奪って武器庫に入り、ロケットランチャーを抱えて出てくる。
 ロケットランチャーには、「fire and forget」と言う言葉が書かれていて、自分は武器にはそういう文句が最初から記されているのかと思ったのだが、実際は脚本の我妻氏が考えたオリジナルのフレーズらしい。

 いづみ、ここで遂に見付かってしまう。
 いづみは外界に通じるフェンスの前に立つが、手を伸ばしかけて、「ハッ」としたように数歩下がる。
 フェンスに高圧電流が流れているのを察したのだ。
 で、もう一度逞しい太腿を剥き出しにして、ナイフをフェンスに投げる。当然、火花が散る。
 ただ、電流が流れているのを確信したのなら、わざわざ貴重な武器を投げる必要はなさそうに思える。無論、これは視聴者サービスである。
  
 背後に迫る兵士たちを気にしつつ、まずバッグを放り投げてから、今度はランチャーを踏み台にして思いっきりジャンプする。

 ここで、スカートの中に白いものがチラチラしていたら、後の視聴率も違っていたのではないかと思うが、残念ながら全く見えない。たぶん、黒っぽいブルマのようなものを履いて撮影に臨んでいたのだろう。
  
 フェンスを飛び越える瞬間、早くも銃弾が飛んでくる。
 反対側に下り、紐をつけておいたランチャーを受け止めてから、
 いづみ「いつか必ずここへ戻ってくる。正面から戦いを挑むために」

 これが劇中での最初の台詞になる。
 ズガガガガガガッ!

 そして最後の台詞になった。
 ……と言うのは嘘だが、そう言う悠長な台詞はもっと安全なところで言いましょう。
 同じ頃、石津のヘリがBポイントに着陸する。
  
 舗装された道をひた走るいづみ。
 と、向こう側から行く手を塞ぐように、装甲車が現れる。ISUZUって書いてあるけどね。

 こうやって堂々と出てくるからには、まだこの辺は「謎の組織」の勢力圏内にあるのだろう。
  
 荷台から、軽機関砲(?)がせり出してくる。射撃手の影も見える。
 そして警告もなく撃ってくる。

 ……しかし、折角手間隙かけて作り上げた最終兵器であるいづみを、いきなり殺そうとするだろうか?
 成功例は今のところ彼女一人なわけだしね。
  
 物陰に退避したいづみ、ロケットランチャーを展開する。
 この辺からの一連のシーンが、毎回のオープニング映像として使われることになる。
  
  
  
 そして映像の合間に、こういうちょっと恥ずかしい言葉が表示される。

 自分がこれを初めて見たのは忘れもしない、2014年の元旦の夜だったが、「これはハズレかなぁ」と12000円出してDVDを買ったことをちょっと後悔したのを覚えている。幸い、杞憂に終わったが。
  
 ためらわず引き金を引くいづみ。
 ロケット弾は車両を直撃する。
  
 カットが切り替わってから、本格的に炎上する装甲車。
 最初は、別の廃車を燃やしているのかと思ったが、どうも、同じ車両を燃やしているようだ。

 初回と言うこともあるだろうが、かなり予算と気合が入っている感じがする。
  
 振り向いてゆっくりと歩き出すいづみの背後で、派手な爆発を起こす。
 やかでカメラに向かって走り出すいづみ。

 逃げる方向が違うんだけど、いいのか?
 ここでやっとメインタイトルが表示される。

 この、映像の合間に文字が出る演出、視聴者にも不評だったのか、3話からは文字はカットされる。

アバン Aパート Bパート 予告

 いずみ脱走の報を受け、緊急会議を開いている黒幕風の五人の男たち。
  
 ただし、石津を除く四人はあくまで数合わせのような存在で、その正確な地位や役職、名前など詳しいデータは一切示されない。一応、石津と同格の幹部らしいのだが、回によっては石津がひとりで決断を下すシーンもあって、良く分からないのだ。

 A「プロトタイプ1号、コードネームいづみが脱走した」
 B「極秘に進められてきたこのプロジェクトが白日に晒されれば我々の組織自体が壊滅的打撃を受けることになる」
 C「その通りだ。研究者として見ても、いづみはまだ最終段階、マインドコントロールを受けていない。どれくらいの力を持ってるのかも分からんのだ。それが街に放たれればどんなことになるか」
 D「危険極まりない未完成品、そういうことだな」

 この中のB(便宜上)を演じているのは、名取幸政さん。「セーラー服反逆同盟」の4話で、「マインドコントロール」されて凶暴化した「いづみ」と言う娘に色んな物をぶつけられていたお父さんである。

 また、Cの台詞から、少なくともCは石津と同様、具体的にバイオフィードバックプロジェクトに関与していたものと思われる。

 ひとつずつ与えられた台詞をこなした後、みんな着席して石津の台詞を待つ。
 石津「いづみは、私が手掛けたバイオフィードバックの数々の失敗から唯一生き残った成功例だ」

 あたかも手柄のように自分の実験の成績について話す石津。自慢してどうする?
 逆に言えば、いづみ以外の実験体は全員死んでいるらしい。また、実はもう一人、成功例がいることが後に分かるのだが。

 石津「諸君、もう少し結論を待って欲しい。そのためにもしこのプロジェクトが外部に漏れるような危険があれば、私がこの手で抹殺する」
 そう言って、皮手袋をはめた手をギュッと握り締める。

 しかし、
 A「君の気持ちは分かる。だが脱走と同時に抹殺指令は発動されているんだ。諦めるんだな」

 折角かっこつけて決意を述べたのに簡単に覆されて悔しい石津であった。
 彼らの台詞から、彼らの上にもっと偉い人たちがいることが推測できる。一方で、最後には石津が独断で「抹殺指令」を止めさせていることが、命令系統に関する混乱を招いている。
  
 石油コンビナートの煙突から炎があがり、夜の闇を切り裂いている。
 その炎がいづみの瞳の中に映り、ついでいづみのアップになる。

 同時に主題歌である「JUST FOR LOVE」のイントロが始まる。歌うのは勿論A-JARIである。
 とても良い曲で、自分がこの作品を好きになった要因のひとつである。こういうドラマにおいて、主題歌の良否はかなり重要なポイントだと思うのである。特に「ボウーホーホ」のところが好き。

 ここで流れるのはフルサイズで、EDで使われているものとは違う。ただ、サントラに収録されているバージョンとも若干異なるようだ。
  
 そして、どうやって研究施設のある島(?)から逃げて、ここまで来れたのか一切説明はないが、タグボートの舳先に立って、東京湾を突き進むいづみの姿を映す。

 衣装も、フライトジャケットにジーンズと言う、いづみの定番スタイルに切り替わっている。
 タグボートから埠頭へ降りるときも、船員に礼を言うとか、極力そう言う具体的な描写は省かれている。

 いづみの声「誰が私の全てを奪ったのか。失われた過去を取り戻すために私は帰ってきた。生まれたこの街に」
  
 そしてサブタイトルが出るのだが、右下に小さく表示された文字が、大きくなりながら真ん中に移動すると言うユニークな手法が採られていて、最初見たときは「おっ」と叫んでしまった。

 ただ、早くもこの時点で、「いづみ」のシナリオの弱点がひとつ露呈している、と思うのだ。いづみの台詞から、彼女はここで生まれ育ったこと、そしてそのことを彼女自身も記憶していることが分かるのだが、やはり最初は、バイオフィードバックの過程で過去の記憶を全てとは言わないまでも大部分失っていると言う設定の方が良かったと思う。「スケバン刑事」や「セーラー服反逆同盟」におけるヒロインの過去にまつわる謎のような、エピソードを通じて視聴者に訴えかける要素がこの作品には欠けている。確かに石津たちの組織がどういう組織で何をしようとしているのかと言う謎はあるけれど、いづみ自身について言えば、1話の時点でほとんど解明されてしまい、その興味で視聴者を引っ張っていくことが出来なくなってしまった。

 それに、彼女が記憶を失っていないのなら、まず第一に、実家に戻るのが普通だと思うのだが、そう言う素振りを見せないのもちょっと気になる。それに、殺人犯として追われていることも知っているのだから、こうやって堂々と顔を晒して歩くと言うのもね。実際は、ファイルから彼女のデータが抹消されていたため、帰還後、警察からは特にお咎めを受けずに済むのだが。
 いづみの到来を前に、物語の主要な舞台となるプールバー「バーガー・イン・サキ」の店内の様子が映される。
 この「サキ」は、やはり「スケバン刑事」から来ているのだろうか? 元々、「スケバン刑事4」として企画されていたのだから、さもありなん。
 初回と言うことで、多少エキストラもいる。
 スクリーンには海外のMVらしいものが映っているが、こういうのが出てくるのは初回だけである。
  
 一方のいづみ、港の倉庫の横を歩いていると、いきなり後ろから車が突っ込んできて彼女を轢き殺そうとする。
 さらに、車体の下から矢のような武器を撃ってくる。
 再び港の方へ逃げるいづみ。
 車の追跡を振り切って、市街地へ歩いて行く。
 この作品で、しばしば画面を飾るモノレールが初登場。
  
 後ろからバイク集団が来るのを見て、刺客かと身構えるいづみだったが、いづみの思い過ごしで、バイクは彼女の横を普通に通り過ぎて行く。いづみの置かれた状況を巧みに描いたシーンである。
 もっとも、その背後には影のようにさっきの車がつきまとっていたのだが。
 彼らは組織の放った殺し屋なのだろう。石津とは直接関係のない連中らしい。
 いづみはやがて、商店街に入る。
 いづみの顔付きからして、この辺は初めて来たような感じである。生まれた街といっても、まだ殺人犯の汚名は消えていないので、あえて見知らぬ土地へ来たのだろう。実際、刑事の藤原以外、誰も彼女の顔を知らなかったからね。

 なお、設定上は晴海周辺と言うことなのだろうが、撮影は上の画像でわかるように横須賀のどぶ板通りで行われていたようだ。
  
 やがて彼女は、後の運命に大きな影響を与えることになる「バーガー・イン・サキ」の扉をくぐる。
 このイルミネーションの看板は、番組用に作って取り付けたものだ。
 この店は、実際に経営されているバーの店舗を借りて撮影されている。左端に「Welcome to the BUFFALO」と言うビラが貼ってあるが、この「BUFFALO」と言うのが本当の店の名前である。このビラは大抵のシーンで映っているが、剥がされている場合もある。英語で書いてあるので、あまり気にならないけどね。
  
 いづみの登場に、一斉に振り向く客たち。玉を突いていたマスターの健(湯江健幸)は、すぐカウンターに入る。
 健は、本業は大学生で、ここではバイトとして働いているだけのようなのだが、はっきりしない。

 健「いらっしゃい、ご注文は」
 いづみ「バーガーとコーヒー」
 健「オッケイ」

 普通に注文をするいづみだが、お金は持っていたのだろうか? 誘拐当時に持っていた財布が彼女の手元に残っていたとも思えないが。ひょっとして、ロケットランチャーをどこかで売り捌いて……って、無理か。

 と、すぐに不良っぽい客が彼女の横に立つ。
 それを見て健は、「ふっ」と笑う。
  
 男の合図に、後ろにいた連れが、硬貨をスナップしていづみの後頭部目掛けて飛ばすが、いづみは飲み干したばかりのグラスで後ろ向きのまま受けてしまう。連れは三回投げるが、全て正確にグラスに入る。いづみの超人的な身体能力を端的に示しているシーンである。
  
 顔色も変えず、硬貨をカウンターに投げ出すいづみ。コーヒーカップを手にした健もちょっと驚く。
 カチンと来た男は、いきなりいづみのイスを蹴倒してしまう。
 いづみはしかし、平然と姿勢を保ち、静かにイスを起こして座りなおす。
 それを見ていた健、「ふっ」と笑う。……と言うのは嘘である。
 ますます頭に血が昇った男は、バタフライナイフを取り出し、いづみの顔に近づける。

 いづみ「あたしを、怒らせないで!」
 男「セクシィだぜ、怒った顔が」
 それを見ていた健、「ふっ」と笑う。……と言うのも嘘だが、最初の悪戯はともかく、ここまで来ると悪質な迷惑行為、そして営業妨害以外の何物でもないのに、健が特にやめさせようとしないのは不自然である。イスを蹴った時点で、何か一言注意すべきだろう。
  
 いづみはナイフをひったくると、目にも留まらぬ速さでナイフを華麗に操り、カウンターに突き立てる。

 もっとも、借り物のお店なので、十中八九、刺さっているは全然別の場所だろう。ナイフを操っている手も別人のものだろう。
 カメラは帰りがけにその店に寄ろうと歩いている恵子たち四人に切り替わる。
 左から、アイ(菅原仁美)、祥子(山本恵美子)、マーコ(助川ユキ)、恵子(土田由美)である。

 撮影時、女優の年齢はだいたいみんな18才くらいだが、アイと佐織(2話から登場)のみ、15才と年が離れている。
 ちなみに健の湯江氏は、20歳前後。

 恵子「明日テストあんの知ってる?」
 祥子「うん」
 マーコ「うそ、何のテストぉ?」
 祥子「数学」
 アイ「いつ聞いたぁ?」
 祥子「一週間前」
 アイ「信じられない、あたし聞いてないよー」
 祥子「お腹空いちゃった、いこ」
 闇学中の会長として、恵子はリーダー的な存在なのだが、学年は彼らと一緒の2年生である。
 このシーンの土田由美さん、右頬の下あたりに黒い汚れみたいなのが見えるのだが、ただの影だろうか?
  
 ちょうどそのタイミングで、いづみがスツールのクッション部分で男の顔面を張り倒し、男は路上に転がり出てくる。

 恵子「カバン」
 祥子「はい」
 恵子は凄い目付きになって、カバンを祥子に投げると、男を引き摺って店の中に入る。
  
 いづみと恵子の、記念すべき邂逅であった。
 ちなみに健は暴れるいづみに対して、何も出来なかった様子。

 恵子「あなたね、あたしたちの遊び場随分荒らしてくれるじゃないの!」
 いづみ「あなたは?」

 珍しくここでは、いづみが他人に興味を示している。本来のいづみなら、相手の名前など聞こうとしないだろうが、そうしないと話が進まないからだ。
 祥子「暴力だけがワルじゃない。初めてワルの世界に合理精神を持ち込んだ、闇の学生中央委員会会長、湯浅恵子、その人さ!」

 恵子の代わりに、祥子が誇らしげに紹介する。
 しかし、この説明だけでは、「闇学中」が具体的にどんな組織なのかさっぱり分からない。

 恵子「やめなよ、照れるじゃん」
  
 睨み合う両雄。
 後の和気藹々とした雰囲気からは想像も出来ないピリピリした空気が流れる。
 恵子「こいつは私の子分でね、メンツの手前、このままってわけに行かないんだよ」

 と、窓の外の人影に気付いた健が注意を促す。
 健「やな奴が来たぜ」
 やな奴とは、名優・地井武男さんであった。刑事の藤原である。
  
 その顔を見て、いづみは何か気付いたような顔になり、目を伏せる。健も、いづみの表情に気付く。
 藤原を避けているようないづみへの配慮か、単にこれ以上店の中で騒ぎを起こして欲しくないだけか、健はバーガーの包みを放り投げ、「バーガー、お帰りはあちら」と、裏口のドアを指差す。無論、お代は結構と言う意味も込めて。

 いづみ「ありがとう」
 健「また会いたいね」
 バッグを抱えて出て行こうとするいづみを恵子が呼び止める。
 恵子「待ちな、名前は?」
 いづみ「いづみ……」
  
 恵子「いづみ……?」

 いづみの答えに、恵子も健も、記憶の底を探るような顔になる。
 藤原が入ってくるのと入れ違いに、いずみは裏口から出て行く。藤原はちらっとその横顔を見るが、それだけではかつて彼が追っていた殺人犯・五条いづみだとは気付かなかったようだ。
  
 藤原、トレードマークのひとつである大きなくしゃみをして、
 藤原「おっ元気か」
 と、男たちの頬をかなり強く引っ叩く。男たちはすっかりへなへなになっている。

 藤原「デカが来たからって、しけた面すんじゃねえよてめえら。ワルなら堂々としてくれよ〜頼むぜぇ、ええっ? おらーっ」
 喋りながら、脱いだコートを男たちに向かって思いっきり投げる。

 ここは、一発目と言うことで、藤原と言うキャラをあえてオーバーに演出しているのだろうが、さすがにちょっとやり過ぎ。
 これでは単なるヤクザである。

 藤原「デカなんざぁダニだ! 出てけ、それくらいの台詞吐いてよ〜、ったくもう」
 言いながら、また男の頬をピシャリと叩く。
 藤原「な、そうだよな、会長さん」
 恵子「相手にしたくないダニも、いるんじゃないの」
 そっぽを向きながら一矢報いる恵子。
 健「それで、なんかあったんですか、藤原さん」
 カウンターを拭いていた健がとりなすように尋ねる。
 藤原「うんー? なんかあったのはそっちの方だろ。おう、今出て行ったのは誰だ」
 健「さあね……しらねえよ」
 藤原、今度は健のネクタイを思いっきり引っ張る。
 健も、かつてはワルだったようだが、今はこうやってちゃんと働いているんだから、刑事としてこの態度は粗暴に過ぎよう。
 (もっとも、7話ではニセの学生証を用意していることから裏で何か悪いことをしているのかもしれないが)
 藤原、鼻息がかかるくらい顔を寄せて、

 「てめえ、厄年、大殺界ど真ん中のデカなぁめるなよぉ」と、凄む。

 この自虐的なフレーズは藤原の口癖のひとつである。
 また、これによって藤原が満41歳(本厄と言う意味だろうから)であることが分かる。41にしては貫禄あり過ぎるけど。地井さんは撮影時、46歳。
 健「しらねえもんはしらねえんだよ!」
 藤原の迫力にたじろぎつつ、踏ん張って答える健。ま、ほんとに知らないんだからしょうがない。
  
 が、恵子はぽつりと「いづみだってさ」と、名前を教えてやる。
 藤原「いづみ?」

 CM前後の合図として、小さくタイトルが右下に表示される。

アバン Aパート Bパート 予告

 さて、Bパートの開始から、いきなり(自分にとっては)嬉しいサプライズがある。
  
 いづみが、またあの車に追われているアクションシーンから始まるのだが、背後に流れているのは、「セーラー服反逆同盟」の主題歌「SHADOW OF LOVE」ではないか! 最初見ていたとき、「おおっ」と唸ってしまった。同時にとても懐かしい気持ちにさせられた。ま、「反逆同盟」も2011年に初めて見たんだけどね。

 インストではなく、しっかり歌も入っている。しかし、いくら同じA-JARIが音楽を担当しているからといって、つい数ヶ月前に終わった他局の似たような番組の主題歌をこうまで堂々と流していいものだろうかとちょっと気になった。自分は別に構わないのだが、制作上、よくストップがかからなかったものだと思う。ただし、さすがにこれ以降は一度も流れなかったが。
 車から逃げるアクションは、スタントが演じているんだと思うが、車が止まってからは五十嵐いづみ本人にスイッチ。
  
 積んである土砂の上を登って逃げる。途中で振り向いて、バッグから小さなバーナーを取り出して先頭の男に噴射する。
 男は燃えながら転がり落ちる。

 ファイヤーアクションと言う凝った撮影だが、昼間の屋外ではあまり火も目立たず、苦労したほど効果を発揮していないのは残念である。自分も最初見たときは全然(火に)気付かなかったほどだ。もっともその時は「SHADOW OF LOVE」の方に気を取られていたせいもあるが。
 曲はそのままで、別のシーンに変わる。
 停泊している船の横を、ぎこぎこ自転車を漕いでいるのは健、後ろに恵子を乗せている。

 この作品は臨海都市が舞台なので、しばしばこういう巨大な(人間からすれば)建造物が景物となって、独特の絵作りに貢献する。

 健「よいしょっ」
 恵子「健、ねえもっと早く漕いでよ〜」
 健「うるさいんだよ、お前は〜」
 後ろを振り向いてぼやく。
 恵子「うるせんだよ、バァカ」
 「バァカ」の部分は声が欠けている。
  
 言い返して目を見合わせるが、すぐ笑顔を見せる恵子。
 健「ちょっ……」

 参ったなぁと言う感じの健。ここはほんとに爽やかなカップルと言う感じで、好感が持てる。こうして見ると、二人は付き合っているようにしか見えないのだが、2話以降ではそう言うシーンはほとんどない。
 健と恵子の関係にしても、いつどこで知り合ったのかとか、基本的なデータは出て来ない。健は別に闇学中のメンバーではないのだけど、まあちょっとした不良仲間と言ったところか。
  
 やがて、赤い灯台の見える場所までやってくる。少しへばったように、前屈みになる健。

 「〜今ここで抱き締めたら崩れそう 俺たちの終わらないロマンス〜」
 と言う、歌詞とちょっとだけダブって見える二人であった。
 恵子「あんたもさっき思い出したでしょ、健。この埠頭の伝説を」
 健「それでここに来たのか」

 「SHADOW OF LOVE」も、この辺で終わる。
 恵子「不思議だね、死んだ筈の奴のこと思い出すなんて」
 健「ああ、確かに思い出しちまったよ。昔、俺たちに真似の出来ない生き方をした奴がいる。……それが、いつも語り出しの伝説のな」
  
 健の台詞と共に、過去のいづみの姿が映し出される。

 健「3年前、殺人犯としてあの藤原ってデカに指揮された警官たちにそいつはこの埠頭に追い詰められた。この街を出て行きゃあそれで済んでいたのかも知れない

 済まないと思います。容疑者は別の街へ行っても容疑者ですから。

 ちなみにここの足音、なんか屋内のように反響しているのが気になる。同じことは他の回でもあったなぁ。
  
 健「でもそいつはこの街にこだわった。ひとりぼっちだったそいつにとって、この街が親であり、仲間だったんだ」

 向かってくるパトカーに、ドラム缶を倒してぶつけるいづみ。何故か引火して爆発が起きる。

 ここも、考えたら結構大掛かりなアクションシーンとなっていて、いかに予算を注ぎ込んでいるのか分かる。これで視聴率が9パーセントでは、プロデューサーも頭を抱えてしまうだろう。
  
 恵子「親も兄弟もなく、仲間も作らなかった。15歳のアイスドール、その子もいづみ、五条いづみって名だった」
 健「ワル以外のなにもんでもなかった。街中の奴らにそうやって恐れられて、嫌われた。けど、ほんとはみんな憧れてた」

 この一連の回想シーンはとてもわざとらしくて、最初見たときは「うーむ」と唸ってしまった。
 「伝説」について視聴者に説明するのは良いのだが、二人ともちゃんとそのことを知っているのだから、改めて健が口に出して「伝説」を語るのが、どうにも不自然に感じるのだ。

 ま、いづみの出現でそのことを思い出し、互いに再確認したかったのかもしれないが。
 それにしても、二人とも全然不良に見えないのが微笑ましい。

 また、「ワル以外のなにもんでもなかった」と言われているいづみだが、具体的にどんなワルの生活をしていたのか、劇中では全くと言っていい程語られていない。街に戻ってからも、そう言う横顔は一切見られないしね。
 もっとも、二人ともいづみと個人的に面識はなかったのだから、「伝説」としてオーバーに語り継がれているだけかもしれないが。それにしても、健はともかく、恵子は麗子先輩をいづみに殺されている(と思い込んでいる)のだから、そのいわば仇の顔くらい知っといてもおかしくないと思うんだけどね。
  
 恵子「五条いづみは人を殺したわ!」
 健「恵子……」
 恵子「たとえ殺された麗子先輩がワルだったとしても、ただの18歳の少女に過ぎなかったはずよ。とっても優しくて私には姉さんみたいな人だった」

 恵子は現在高校2年で17歳なので、3年前なら14歳だと思われるが、麗子を先輩として慕うにはいささか年が離れ過ぎている気もする。この、いづみや恵子の年齢に関する矛盾は、どう頭を捻っても辻褄を合わすのは無理のようだ。
  
 健「恵子、五条いづみは死んだんだ。みんな昔の話だよ」
 健の顔を見る恵子の目には薄っすら涙が滲んでいた。

 しかし、ここでの土田由美さんはナチュラルメイク過ぎて、スッピンみたいである。可愛いけど。

 健「でも、その当時のワルたちは、伝説だけを信じたんだよ。」
 健「この埠頭で起きたラストバトルだけを」

 ラストバトルって、なんかゲームみたいだなぁ。ま、不良っぽい表現ではあるが。
 健の台詞で、再び回想シーンになる。
 いづみ、警官隊に追われて埠頭の上を走る。
 貴重ないづみのポニー姿。
 このショットでも、はっきり「晴海学園高校」の制服だと分かる。やはり、彼女は高1の時に行方不明になったとしか言えない……のだが。
 藤原「何をしている、早く逮捕しろ!」
 と、いづみの凶暴さに怯んでいる警官の尻を叩く藤原。コワモテの癖にビビリであった。
  
 多勢に無勢で、警官隊に押さえつけられるいづみ。

 ここは、五十嵐いづみの口が歪んで、なんか別人のような相貌になっている。熱演の証である。
 警官が警棒でボコボコ殴るのを藤原はやめさせるが、いづみは尚も警官を振り払って抵抗する。
  
 乱れた髪がセクシーないづみ。
 「誰も、何も分かっちゃいない……」
  
 灯台をバックに、意識を失ったように海へ落ちていく。
 無論、これは下にマットを敷いてその上に倒れているのだろうが、反射的に右腕で体を支えようとしているのがちょっと惜しい。
  
 そして、実際に海に落ちるショット。暗くて分かりにくいが、ここではちゃんと棒立ちのまま水中に没している。
 さすがにこれはスタントが演じているんだろうと思うが……?
 健「それっきり死体は上がらなかった。あんなにワイルドな奴って、もういねえな」

 いつの間にか、日が傾いている。この時間経過の描写は見事だ。
 それにしても、彼らは何でそんな具体的な闘いの様子を知っているのだろうか? ま、いづみが警官隊と乱闘の末、海に落ちて行方不明と言うことはちゃんとニュースで報じられるだろうが、そんな細かい事実が部外者に伝わるとも思えない。だから、あくまでこれは事件に尾ひれがついた「伝説」として、健が語っているだけなのかもしれない。どっちにしろ、いづみがその後、姿を消したことは間違いないのだから別に問題はないが。
 健「偶然同じ名前だったんだよ。それだけのことさ」
 しかし、折も折、恵子がいづみの姿に気付く。
 恵子「あいつ……」
 健も立ち上がって視線を向ける。
  
 夕陽の中を、3年前の伝説さながら、敵に追われて疾走するいづみの姿が!
 美しいシーンである。ここでも、背後の巨大なクレーンが絶妙なアクセントになっている。

 画面が切り替わると同時に、印象的なBGM「ESCAPE」が流れ始める。冒頭の睦五郎のナレーション(5話から)の時に流れる曲である。
 灯台のそばまで来たいづみ、振り向いて刺客たちと対峙する。
  
 リーダー「ゲームは終わりだ」
 いづみ「始まったばかりさ!」

 この台詞の応酬は、劇中でも一、二を争うかっこよさ。
 リーダー「お前が選択できる道は二つ。戻るか、死か、それだけだっ」

 「抹殺指令」が出ている筈なのに、ここでは何故か「戻る」と言う選択肢が出てくる。大金を注ぎ込んで作り出した「最終兵器」なんだから、いきなり抹殺するより、「回収」しようとするのが自然なんだけどね。
  
 ここから、いづみの場違いな長台詞が始まる。さっきのかっこよさが台無しである。

 いづみ「戻るぅ? いわれのない罪を着せられ、全てを奪われて地獄を味わった3年間、どんな思いで私が生きてきたか誰にもわかりゃしないわ!」
 長くなりそうなので、とりあえずコートを脱ぐ皆さん。
 いづみ「死んだことにされ、訳の分からない訓練をされ続けたあの地獄の中で、来る日も来る日も抜け出すことを夢見ることだけが、生きる支えだった。抜け出して復讐することだけを夢見て! 夢見て……」
 バッグから、鉄の輪をチェーンで結んだ「サバイバル・ソー」と言う武器を取り出す。

 これはいづみが施設に収容されている間にこっそり作ったオリジナルアイテムらしいが、よくそんなもん見付からずに作れたものだと感心する。

 ちなみに「訳の分からない訓練」と言うのは多分、「戦う意志がお前の肉体を最終兵器に変える」と言う、石津の台詞を延々とイヤホンで聞かされたことを言ってるんだと思う。そりゃあ、ずーっと同じ台詞を聞かされた続けたら、地獄だわな。
 いづみのアップが、映像とオーバーラップする。

 いづみ「あんたたちが何者なのか知らない。聞いたところで決して口を割らないってことも。だけど、逃れ逃れて教えられたことはただひとつ、サバイバル、それは生き延びる意志のこと」

 「逃れ逃れて」って言ってるけど、施設から脱走してまだそんなに日数経ってないと思うんだけどね。それにバッグの「SURVIVAL」の文字は、施設から脱走している時点で書かれてたし。
  
 どうやら話が終わったようなので、戦闘隊形を取る皆さん。ナイフを持ち、リーダーの背後に並んで立つ。こういう風にフォーメーションを組んで戦うのはなかなか面白い。もっとも、こういう敵は今回限りだったが。
  
 いづみ、サバイバル・ソーの重なったリングをガコッと外し、左右に引っ張ってチェーンを引き出す。同時に、
  
 石津の声「バイオフィードバック、戦う意志がお前の肉体を最終兵器に変える!」

 ここで、記念すべき最初のバイオフィードバック発動。そのメカニズムは、劇中で何度も石津が説明しているのだが、何回聞いても分からない。とにかく、いづみが闘志を燃やしたり、怒りを覚えたりした時、半ば自動的に発動するもので、これによっていづみの戦闘能力が跳ね上がる仕組みである。設定では、ついでに頭も良くなるらしいが、それが明瞭に分かるようなシーンは最後まで出てこなかった。

 映像的には、極太の眉をしたいづみの髪の毛が風を受けたように乱れ、
  
 画面が素早く点滅し、いづみの顔の半分に交互に光が当たる。こういうシーンはキャプするのに苦労するのだ。このフォーマットは以後、ほとんどすべてのフィードバックシーンで使い回しされる。

 ちなみにここでの石津の台詞、ちょっと発音がおかしい。「にくたい」とかね。
 男たちが一気に突っ込んでくる。
 また、ここから「ぱお〜ん」と言うような独特のイントロが耳に残る五十嵐いづみの挿入歌「エスケイプ!」が初めて流れ出す。
 この曲も、「JUST〜」に負けず劣らずノリの良い曲だ。歌詞も「いづみ」の境遇に沿ったようなイメージソングっぽくてグー。
 ここでは、ストップモーションやフィルムの速度をいじったり、あるいは手ブレ風の映像に加工したりすることで、いづみの圧倒的な強さを表現している。五十嵐いづみは本職のアクション俳優ではないので、これはしょうがないだろう。
 そうは言っても、段取り通り体を動かすのだって、大変なんだろうと思う。
 またここでは、画面に傷のような攻撃効果が追加されている。こういうのも、ここだけじゃないかな?
 一瞬のうちにひっくり返されてしまう男たち。

 いづみ「あんたたちの力じゃ、私には勝てないわ」
 歌詞(ナイフみたいな花びらが散る)

 再び襲ってくる男たち。ここの開脚アクションも、素人にはなかなか出来ないんじゃないかと思う。五十嵐いづみさんは割とそう言うアクションは得意のようだし、撮影前にある程度訓練はしていたそうだ。ま、アクション監督の上田弘司氏の手腕によるところも大であろう。
  
 歌詞(それが前ぶれなの)

 今度は二人ずつ、前後から襲ってくる敵。この動きも面白い。
 見事な体術で、前後の敵を同時に捌くいづみ。惚れ惚れするようなアクションである。
 多分、ここも五十嵐いづみ本人が演じてるんだと思うが……顔がはっきり見えないのがちょっと怪しい。
 歌詞(あなたを殺す夢をみたから もうこの街にもいられないわ)

 勿論、ここは全部女優本人でやっているわけではなく、急にロングになって、いづみが灯台の向こうに走り込んで、ジャンプして戻ってくるような本格的なアクションは、男性スタントがカツラ被って演じている。
  
 いづみに蹴られ、羞恥ポーズのまま海へ落ちる男。美味しい。
 ナイフを持つ相手の腕を逆さに決める。
  
 歌詞(罪の匂いを雨で洗うけど)

 そして掌底を相手の顔に叩き込み、これまた海へ突き落とす。
  
 ついで、空中で回転しながら鋭い蹴りを放つ。飛んでいるのは無論、スタントである。
  
 歌詞(濡れたからだが悲しくなるだけ)

 最後は、伸ばした指先が標的に向かって走り、拳となってどてっ腹に突き刺さる。この、カメラがいづみの手の動きを追いかけるショットは、アクション監督のお気に入りなのか、「いづみ」ではしばしば見られる。
 最後の敵も海へ落ちる。
 と、ヘリのローター音が近付いてくる。上を見上げるいづみ。
 ← 
 ヘリの動きを目と体で追いかけるいづみ。ここは極めて印象的なショットになっている。

 歌詞(ねえ涙さえも ねえ禁止されてる Ah〜)
 狙撃手「狙撃します」
 石津「待て」

 ヘリは石津自身が操縦し、後方に狙撃手がライフルを構えている。
 演じているのは加藤照男さんで、2話ではいづみの監視役、5話で吉岡役を演じている。同一キャラなのかどうかは今のところ不明である。

 これはやはり、地上にあるヘリを映しているんだろうなぁ。一瞬、ヘリから見た、男の服が見えるショットがあるんだけど。
 歌詞(私は誰? Get back danger zone)

 石津「いづみ、やはり想像を超えるパワーを秘めた最終兵器。地上最後の兵士だ。この街でどう生きるか、厳戒態勢で見守るしかないだろう」

 と言う訳で、なし崩し的に「抹殺指令」はストップされてしまう。組織の将来のことを思えば、心を鬼にしても、ここでいづみを狙撃しておくべきだったろうが……。

 それにしても、石津の台詞、納得いかない文章である。前後がどう考えてもつながらないのだ。最初から、石津が全権を握っていたとすれば、(一時は抹殺指令を出したが、その戦いぶりを見て気が変わり)「〜の兵士だ。この街でどう生きるか、厳戒態勢でその能力を観察することにしよう」みたいなことを言わせられるのだが……。

 また、石津の「〜だろう」と言う語尾、他のシーンでも出てくるが、個人的な希望をあたかも客観的な事実のように述べる、彼特有の話術である。
 敵を全て薙ぎ払い、一人埠頭に立ついづみの空撮。しかし、男たちが泳いでる姿が見えないけど、沈んじゃったのかしら?
 石津「この美しい街は、今日から戦場になる」

 ……筈だったんだけどね。もう少し視聴率が高ければ。

 歌詞(傷ついている時間もないの)
 歌詞(次の風が吹くわ 何も知らないあなたの事をもう一度でいい 抱き締めたいの)

 あ、良く見たら、海に落ちずにその場に倒れている敵もいたね。
 やがて高度を上げて去っていくヘリ。

 歌詞(蒼い瞳が私の勲章 一人ぼっちで守ってゆくけど)
  
 ふと足を止め、ややもたつきながら胸に下げた例の逆回転時計を取り出して、盤を見る。
 この時計、秒針が逆に回っているけど、時刻自体は正確なんだろう。

 いづみ「私の時はまだ戻らない」
 そうつぶやいて、時計をシャツの中に落としこむ。

 歌詞(ねえ涙さえも ねえ禁止されてる Ah〜)
  
 と、健と恵子のいる埠頭に、藤原も走ってやってくる。チラッと見た横顔や、いづみと言う名前から、ひょっとしてと思って探し回っていたのだろう。

 歌詞(私は誰? Get back danger zone) 作詞・石川あゆ子

 藤原「生きていたのか……五条いづみ!」
 しかし、これだけ距離があるのに良く断言できるなぁ。

 健と恵子の台詞によって、あっさりいづみの過去が明らかにされることもそうだが、藤原がこんなに早くいづみのことを知ってしまうのも、ドラマの序盤の面白さを殺いでいると思う。そう言うのはもう少し小出しにして欲しかった。
  
 健「伝説が帰ってきた!」
  
 最後はもう一度歩き去っていくいづみの姿を映す……よせばいいのに、またこういう言葉が挿入される。
 何者だって……もうだいたい分かってるじゃないか。
 そして「つづく」のである。

 さて、第1話と言うことで、エンディングタイトルバックも一通り紹介しておく。
  
 エンディングは「JUST FOR LOVE」。
 小気味良いドラムにあわせて、一足飛びにズームして行く(ガチョーンズーム)。
 ← 
 灯台の前に立ついづみ、軽やかに振り向いて髪が揺れる。
  
 タグボートの舳先に立つ、印象的な1話の登場シーン。
 橋の真ん中にいるいづみの左右から、恵子と佐織が駆け寄ってきて並ぶ。

 歌詞(君の肩ごしに見える街の光が 雨ににじんでる いつもより無口な夜)
  
 主役三人娘が、ひとりずつクレジットされるが、五十嵐いづみの笑顔は明る過ぎてちょっと「いづみ」のイメージとそぐわない。土田由美と、桂川昌美はなんか笑顔が固い。

 佐織役の桂川昌美さんは2話から登場と言うことで、ここではクレジットがないが、主役なんだから別に出てなくても表示すればいいのに、と思う。1話を見たとき、ちょっと混乱してしまった。「こいつ誰やねん」と。
  
 「バーガー・イン・サキ」で、ゲームをしている三人。

 クレジットでは、三人以外は役名表記がない。これも、レギュラーにはあっても良かったんじゃないかなぁ。
 なお、1話と2話のクレジットは三人娘と同じく、画面を占領するくらい大きいが、タイトルバックがよく見えないとの指摘があったのか、3話から、三人以外は右下にコンパクトに表記されるようになる。

 歌詞(Oh 二度と君を Oh 淋しくはさせない)

 この「Oh」のところ、実際に聞くと「ぼーほーほー」みたいに聞こえるのだが、ここがとても好きだったりする。
  
 港湾の様子を映した後、運河沿いのカフェにいるいづみ。

 歌詞(Oh 流れて行く 時は止められないけど 君のために 愛のために 少しずつ優しいオトコになれる 息を止めて 心開いて 君のすべて感じていたい)

 この「感じていたい」は、フルサイズでは「感じ続けたい」だが、テレビサイズでは2番の歌詞が使われている。

 同じく1話のように、モノレールの下を歩いていくいづみの姿。
  
 ここでもう一度ガチョーンズーム。
 歌詞(濡れた髪を 震える指を 抱いていたい 夢が終わるまで)
 ここからの歌詞も、2番の歌詞である。……と言うより、1番の歌詞の最後から、2番の歌詞の途中までがカットされたフルサイズと言うべきか。実際に歌詞カードを見てもらわないと分からないと思うけど。
  
 最後は美しい夕陽に染まる港。

 協力の「オリエント時計〜」は、いづみが逆回転時計を見るシーンがあるエピソードに表示されるようだ。そう言う時計を特別に用意してもらったのだろうか。
  
 あの埠頭を歩いていくいづみの影を映しつつ、終わり。

 歌詞(息を止めて ah 君の中で 愛のすべて 感じ続けたい) 作詞・藤尾領

アバン Aパート Bパート 予告

 さて、予告は、恵子、健、佐織、そしていづみによる掛け合いによって行われて、これもひとつの楽しみになっている。組み合わせは色々で、健がひとりで喋るだけのバージョンもある。
 予告のタイトル画面。これはいつも同じ。BGMは、「JUST〜」のインスト。

 次回のシーンを映しつつ、キャラクターの掛け合い。

 恵子「五条いづみの正体は私が絶対暴いてみせる」
 健「でもよ、いづみは佐織って子を探してるんだぜ」
 恵子「えーっあのぶりっ子? よーし、先に見つけるっきゃない!」
 健「恵子のライバルが増えたんじゃないのぉ?」
 恵子「もー、あんなのと一緒にしないで、次回、少女コマンドいづみ、『戦闘能力、全開』、見ねえと承知しねーかんな!」
 なお、予告編の映像は、本編と異なるものが多いが、今回はっきり違いが分かるのは、いづみが腕一本で恵子を支えるシーン。ここでは、ちょっと失敗して落ちそうになっている。

 また、予告の中では、恵子が「あのぶりっ子?」と佐織のことを知っているような口ぶりなのだが、2話を見る限り、初対面としか思えない。
 そして最後に、いづみが振り向いて、「あなたがターゲット、バーン!」と、ウィンクをしつつ銃を撃つ真似をする。ここはいづみと言うより、五十嵐いづみとして言っている感じだ。